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世界経済の成長率は、中国経済の減速によって、ここ最近は年3.0%程度まで低下している。トランプ関税など世界の分断が進むなか、2026年の世界経済はどうなるのか。特集『総予測2026』の本稿では、26年の世界経済を読み解く三つの注目ポイントやリスク、日本経済や株高の行方について展望する。(前日本銀行総裁、政策研究大学院大学政策研究院シニア・フェロー 黒田東彦)
中国の減速で世界の成長率も低下
世界経済を読み解く三つのポイント
2026年の世界経済はどのようなものになるのか。三つの注目ポイントから読み解いてみたい。
世界経済は10年代には年3.5%程度で成長していたが、主として中国経済の減速によって、20年代には3.0%程度まで成長率が低下している(下図参照)。
従って、まず、26年の中国経済の成長率がどの程度になるかを見極める必要があり、これが第一の注目ポイントである。
実際、中国経済は2000年代まで年平均10%の成長を続けてきたが、10年代には7%台に減速し、20年代には4~5%程度まで減速している。
これは、1人当たりGDP(国内総生産)が1万4000ドルと高所得国になって労働生産性の伸びが低下している上、人口が22年以来減少を続けていることによる。加えて足元では、21年の住宅バブル崩壊の影響も大きい。国際通貨基金(IMF)も、26年の中国の成長率を4.2%とみている。
次ページでは黒田氏が世界経済を読み解くための残る二つの注目ポイントと、リスクや日本経済や株高の行方について展望する。








