つらかった過去を気にするより
“いま”をどうするかのほうが大切だ

 9年前、この「こわれ者の祭典」を始めたのも、様々な自助グループの体験発表をエンターテインメントによって笑えるようにすれば、イベントに来て、何かのきっかけにつながる人たちもいるのではないかと思ったからだ。「先輩からもらったものをエンターテインメント化して面白くした」という。

 昔、つらかったことでも、人前で繰り返し話すことによって、「生きづらくても大丈夫!」と、思えるようになるかもしれない。

 かつて、どうだったのかという過去をどうこう気にするよりも、いまはどうなのか。どうすれば、これからもっと良くなるのかを皆で考え合うほうが大切だ。

 ただ、月乃さんがこうした公演を主催してこられたのも、本業である会社員としての収入があったからでもある。

 今回の祭典には、当連載でも紹介した「引きこもり」や摂食障害などの経験者である、『K-BOX』代表のKaccoさん、強迫行為に悩まされてきたアイコさん、お互いに脳性マヒと診断されながら、映画や舞台などで活躍を続ける、お笑いコンビ「脳性マヒブラザーズ」など出演者たちが、それぞれの歌やパフォーマンスを披露した。

 月乃さんは、最後にこう叫ぶ。

「お互いにビミョ~に迷惑をかけ合って、ビミョ~にお互いの尻を拭き合って、生きていこう。責任は、お互いにとり合おう。これが、福祉ってやつじゃ、ないですかね~! 皆さま~!」

 次回の『こわれ者の祭典』は5月頃、東京と新潟で公演される予定。


発売中の拙著『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)では、このように、いまの日本という国が、膨大な数の「引きこもり」を輩出し続ける根源的な問いを追い求め、当事者や家族らの語る“壮絶な現場”をリポートしています。ぜひご一読ください。