実験でも証明された「グリシン」の驚くべき効果

 我々の体をつくるうえで欠かせないグリシンは、睡眠についても重要な働きを担っている。まず、入眠をサポートする働きがある。入眠の際、体は内部の温度を下げる。グリシンは、血管を拡張し、それを促すことがわかっている。

 また、睡眠の質も高める。グリシンを摂取すると、ノンレム睡眠の時間が増加することがわかっているのだ。ノンレム睡眠の時間が増加すれば、体の休息はいつも以上に進む。

 さらに、グリシンを摂取することで、ノンレム睡眠の中でも、とくに睡眠が深くなる「徐波睡眠」と呼ばれる状態に、より早く到達することもわかっている。これにより、成長ホルモンが出やすくなる。

 このグリシンの睡眠効果を証明する実験がある。
 睡眠に問題を抱えた被験者に、ふとんに入る30分前に3グラムのグリシンをとってもらい、翌朝と日中の状態を調べた研究がある。すると、毎日いくら寝ても「まだ眠い」「頭がすっきりしない」「疲れがとれない」「やる気が出ない」という症状を訴えていた被験者が、グリシンをとった翌朝にはシャキッと起きることができ、日中のパフォーマンスも上がったのである。

 睡眠中の脳波を調べても、グリシンをとると、寝ついてからすぐに深い睡眠に入り、睡眠のリズムも自然なものになったという。これは、グリシンが脳の体内時計に働きかけ、睡眠のリズムがうまくとれるように作用したからだと考えられている。

 グリシンは、サプリメントとして売られているので、ネットショップなどで気軽に手にすることができる。
 もちろん食事からも摂ることができる。主に、魚介類(エビやホタテ、カニ、イカなど)に含まれる。眠りが不調なときには、夕食にこれらの食材をとってみるのもよい。

 面倒くさがりの人は、ぜひ「グリシン」の摂取から睡眠の質を改善してみよう。