製造業の中国に対する投資が低下しているが、小売業や流通業などが中国を見つめる目線には依然としてある種の情熱を帯びている。消費力が向上している中国市場に魅力を覚えている小売業、流通業などがその中国市場を分析するとき、非常に重視しているキーワードがある。
それは「一線都市」だ。消費市場を引っ張る都市の地位を象徴するものである。
外国企業にとっては、中国の一線都市を制覇すると、ほぼ中国の消費のトレンドを抑えたと言ってもいいようだ。だから、この一線都市たる都市を理解する必要がある。それに関連する情報をいち早く手中に握らないといけない。
ご承知の通り、中国では、都市は「一線都市」「二線都市」「三線都市」という形で分けられている。なかには、四線都市、五線都市という分け方をする人間もいるが、主流にはなっていない。
現在の時点で、中国には654の都市がある。そのうち、人口が百万人以上の都市はすでに160個もある。しかし、人口20万人以下の小都市が全都市数の18%にもなっていない、とも指摘されている。2010年、拙著『莫邦富が案内する中国最新市場 22の地方都市』が海竜社から出版されたとき、その前書きには、「2003年は中国全土に660の都市があり、その内訳は、直轄市4、副省級市15、地級市267、県級市374、だった」と書いた。
都市化が進んでいるはずなのに、都市数があまり変わっていないようだ。
もちろん、直轄市、副省級市、地級市、県級市といった分け方もあるが、それは行政区分という視点から見た結果だ。
一方、商業、市場、消費レベル、物流という視点から都市を上述したように、一線都市、二線都市、三線都市という分け方でランキング化する傾向もますます強まっている。
ここにいう一線都市とは、上海、北京、広州、深センを指す。つまり直轄市と一部の省都でもある副省級市からなる。二線都市は、天津のような直轄市、ほとんどの副省級市と一部の省都を指す。三線都市は二線都市を除く地級市のほとんどだと理解していい。