全自動のクラウド会計ソフト「freee」(フリー)を中心に、個人事業主や中小企業に対し、業務効率化の様々なサービスを提供しているfreee株式会社。設立からまだ4年というベンチャーにして業界No.1。その成長の秘密は何か。これからfreeeはどこへ向かうのか。佐々木大輔代表が語った。(文・牧野圭太)
社会全体を変えるための一歩
いわばボーリングのセンターピン
グーグルにいた頃、日本・アジアの中小企業のマーケティングを担当しました。オンライン広告を提供する仕事です。それがとても面白かった。例えば京都で代々「竹」を加工して販売している人がいて、その製品が日本全国で売れたり、世界で売れたりしている。でも半面、まだまだほとんどの人たちがその存在を知らない。もったいないと思うと同時に、スモールビジネスの可能性を感じました。
アジア全体の責任者になって、マーケットをより俯瞰してみていると、オンライン広告以前にやらなければならないことが山ほどありました。そもそも企業のWEBサイトがなかったり、その質が低かったり、バックオフィスにもたくさんの問題があったり。それらはまったく解決されていないし、誰も解決するためのアプローチをしていなかった。
以前に、ベンチャーでCFOをやっていたことがあったのですが、毎日毎日、経理の人が情報をすべて手で入力していた。「なんでこんなに入力しなくちゃいけないのか」と思い、業務内容をひとつずつ分析していましたが、原因はそのとき使用していた会計ソフトの限界だとわかった。
経費が生まれる。受注が発生する。請求書をもらう。支払いをする。預金残高はいくらだから、いつ決済するべきか。それら全ての作業は、テクノロジーを活用し、クラウドを使い自動化できるはずなのだけれど、2011年ごろになっても誰もやっていなかった。