「7時間睡眠がいちばん良い」「短眠は寿命を縮める」……。こうした常識、はたして本当なのだろうか?20年以上睡眠専門医として活躍中の坪田聡氏は、「睡眠のよしあしは『時間』だけでは測れない」「睡眠は『時間』と『質』のかけ算で決まり、質を高めれば5時間でも健康的な毎日を過ごせる」と言う。
しかし、短時間の睡眠では、日中にだるさが残る我々にとっては信じられない話だ。どう「質」を上げればよいというのだろうか。
そこで、最新刊『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』が話題沸騰の坪田氏に、その具体策を教えてもらう。今回は、エアコンをはじめとした冬の寝室環境の整え方について教えてもらった。

エアコンは何度に設定すればいい? つけっ放しはよくない? 冬の寝室環境のホントのところとは?  Photo:Tsuboya-Fotolia.com

エアコンはつけっ放し?それともタイマーでオフ?

坪田聡(つぼた・さとる)
日本睡眠学会所属医師、医学博士。雨晴クリニック(富山県)副院長。睡眠専門医として、20年以上現場に立ち続ける。日本睡眠学会の他、日本スポーツ精神医学会、日本医師会、日本コーチ協会にも所属。ヘルスケア・コーチング研究会代表世話人も務める。1963年生まれ。石川県在住。日本を睡眠先進国にし、睡眠の質を向上させるための指導・普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、「睡眠コーチング」を創始。2007年から生活総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして、インターネット上で睡眠に関する情報を発信中。『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(すばる舎)、『快眠★目覚めスッキリの習慣』(KADOKAWA)、『能力が5倍アップする 睡眠法』(宝島社)、『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)など著書多数

 寒さが厳しくなってくるこの季節、寝室をエアコンで温めて眠る人も多いのではないか。では、皆さんは、エアコンを何℃に設定しているだろうか。私がよく聞くのは、夏と同じ25℃前後に設定する人。しかし、それはよくない。

 冬は、16~19℃の範囲がベスト。これ以上室温が高いと、冬の就寝環境(毛布やパジャマの保温性)を考えれば、暑くて寝ている間に布団をはいだりしてしまう可能性がある。
 また、これ以上室温が低いと、呼吸によって肺が冷やされる。結果、体温が下がりすぎて、睡眠の質が悪くなる。

 寝室と居間が別の人は、その気温差にも注意したい。暖かい居間から急に寒い寝室に入ると、交感神経が刺激されて目が覚めてしまう。結果、寝つきが悪くなる。冬は、寝る1時間くらい前から、寝室の温度を16~19℃に整えておきたい。

 また、できれば、エアコンはつけっぱなしで、朝までこの温度を保ちたい。もし一晩中エアコンを使うのが気になる場合は、タイマーを3時間でセットしよう。
 これは、本連載でも触れた(第二回記事を参照)、睡眠の質を高めるために重要な「入眠から180分」の質を高めるためだ。