公取委の言い分では、介護市場活性化のネックになっているのが「規制」で、具体例としてあげているのがヘルパーによる訪問介護だ。

 現状でも混合介護は認められている。ただし、介護保険を使ったサービスと保険外のサービスは明確に区分することが求められており、同一時間内に一体型のサービスを受けることはできない。

 たとえば、介護保険を利用できるのは、利用者本人の食事や洗濯、掃除、買い物などの家事支援のみで、同一時間内に同居の家族のものを一緒に行うことはできない。

 また、草むしりや庭の水やり、ペットの世話、大掃除、家具の移動などは、日常生活の援助には該当せず、介護保険では利用できない。

 同居家族の食事作りや洗濯などの家事支援、介護保険で決められた範囲外の援助をヘルパーにお願いする場合は、実施する時間をずらして、全額自費の別料金を支払うことが求められている。

 こうした「規制」を緩和して、同一時間内に利用者と同居家族の食事作りや洗濯などをできるようにしたり、草むしりやペットの世話ができれば、効率がよく保険外サービスの料金を得られて、事業者の収益アップにつながるというのが公取委の言い分だ。

 たしかに、食事作りも洗濯も、ひとり分でも家族の分をまとめて行うのも、大して手間は変わらない。洗濯機を回している間に、庭の水やりやペットの世話、家具の移動などができれば、利用者は助かるだろうし、ヘルパーは効率よく仕事ができる。公取委の指摘はもっともな部分もある。

 だが、果たして、そうした規制を緩和したところで、全額自己負担をしてまで保険外のサービスを利用する人は飛躍的に増えるのだろうか。

保険外サービスの利用者は
全体のわずか1.3%

 厚生労働省老健局の「公的介護保険制度の現状と今後の役割」(平成27年度)によると、介護保険の支給限度額を超えて、全額自己負担で保険外サービスを利用している人の割合は全体の1.3%しかいない。

 介護度が上がると保険外サービスの利用割合も高くなるが、要介護4で2.4%、要介護5で2.9%だ。現状では、わずかな人しか保険外サービスを利用していないのだ。