忘年会シーズンもたけなわだが、今年の忘年会ではちょっとした“異変”が起きている。プチ高級店で、忘年会の“定番”である「飲み放題」メニューがなくなりつつあるのだ。その代わりに、少しずつ増え始めているのが、「ペアリング」と呼ばれるメニューだ。このペアリングとは何か。果たして「飲み放題」に取って代わり、定着するのだろうか。(取材/文 ライター・奥田由意)
料理一品ごとに
店が厳選したお酒を出す
高層ビルがそびえたつ六本木一丁目の駅のほど近くに、新しい蕎麦ダイニングがオープンした。
時まさに忘年会シーズン。忘年会といえば、飲食店では、「飲み放題」メニューを謳うのが一般的だろう。しかし、この店には「飲み放題」はない。
実は、このところ、客単価が5000円~1万円台の“プチ高級店”では、「飲み放題メニュー」がなくなりつつある。
代わりに登場したのが、「ペアリング」という飲み方だ。この蕎麦ダイニングも、ペアリングを売りにしている。
ペアリングとは、コースで出てくる料理一品ごとに、店側がその料理に一番合うと想定される酒を厳選して提供するスタイルだ。もちろん時間制ではない。
上記のような客単価の店の飲み放題メニューは、ビール、数種のカクテル、日本酒、ワイン、ソフトドリンクなどのラインナップで、1500~2000円。
前述の蕎麦ダイニングでは、7品からなるコースの、最後の蕎麦とデザート以外の5品にそれぞれ違った日本酒やワインが供され、2500円だ。飲み物を別に頼むと、ワインは1杯700円程度、ボトルで数千円。日本酒は4合瓶で5000~1万円程度だ。
そのペアリングの例を見てみよう。