メリハリボディを目標に、さまざまな手法を紹介してきましたが、今回は「見た目以外に痩せなきゃいけない理由ってナンだっけ?」という原点に立ち戻ります。どんなダイエット法より、意識の転換のほうが効果があるかも!?

 本連載も今回で9回目を迎えます。過去8回は、筆者の都竹が医師であるにもかかわらず、病気のことには「あえて」触れませんでした。それは本連載のメインテーマがカラダを引き締めてメリハリボディになることだったからです。

 しかし、これまで紹介してきた1日10分の筋トレと「和食・よく噛む・お茶お水」の食事法は、メリハリボディだけでなく、病気、とくに肥満、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防改善にも効きます。

 ここまで読んで、自分は病気知らず、病院とも縁がないから今日の連載は関係ないと思ったあなた。

※平成16年度国民健康・栄養調査を基に作成

 じつはメタボリックシンドロームの基準である腹囲85cm以上の男性は、30代で3分1、40代でほぼ半数にも達します。またメタボリックシンドロームと密接に関わっている糖尿病、およびその予備群が40代男性で2割、60代にいたっては4割、成人全体で2210万人と推測されています厚生労働省 国民健康・栄養調査 2007年)。私たちの調査でも、30代男性の体重は20歳のときから平均7kg近く増えていました。 このように日本の男性は、20歳を過ぎても「前後左右」に成長し続けているのです。その意味では万人に関係するテーマともいえますので、取り上げることにしました。

 今回と次回は、検診でメタボ予備群と指摘された川上さん(仮名)とある保健師の保健指導の様子を見ながら、

(1)メタボリックシンドロームという病気について、
(2)普段どういう点に気をつければ良いのか、
(3)健診後の保健指導の賢い利用法、

などについて紹介していきます。

「保健指導」を疎んじることなかれ

■30分間、話を聞けば良いんじゃないの?
保健師
:(えーと、次の方は川上隆さん、48歳、男性。大手商社の部長さん。やる気のある人だと良いんだけど。この前みたいに、途中で険悪な雰囲気になったらどうしよう…)こんにちは。これから半年間、保健指導を担当させていただく保健師の○○と申します。よろしくお願いします
川上:(えっ、今年は半年もやるの!? 30分、話を聞けば来年まで無罪放免だと思って来たのに。まいったなぁ、この忙しいのに。まぁ、適当に相槌を打っておけばいいかぁ)

 会話に出てくる川上さんは、先ほど半数以上がメタボと指摘した、40代男性です。糖尿病はじめ、生活習慣病のリスクもかなり高く、保健指導の必要性はいうまでもありません。

グラフになるとやる気が出る。 特に歩数は増やしたくなって、エレベーター・エスカレーター利用を減らすようになった。(40代男性・東京都)                                   ウェルネスリンクを通じて、みなさまの健康をサポートします。機器・サービス協力 オムロンヘルスケア

特定保健指導のフォローアップは最大半年間。ボディデザインで謳っている「本気の1ヵ月」に比べると、かなりの長丁場です。しかし、半年あるからと言ってダラダラは禁物です。何事も最初が肝心。最初の1ヵ月で変わる兆しがなければ、2ヵ月目以降もまず変わりません。

 保健指導であれこれ指摘されているうちに、ムスッとしたり、なかには怒り出す方までみえます。たしかに指導者側の言い方にトゲのある場合もありますが、多くの指導者は変わってもらいたい、良くなってもらいたいと「思って」話しているので、ぜひ前向きな気持ちで聞いてみてください。

 その際、単に指導を受けるのではなく、自分から「こんなときはどうするの?」「こんなことで困ってるんだけど…」と質問し、「使えそうな」アイディアをどんどん引き出してみてください。なんと言っても、保健師はアイディアの宝庫なのですから。