後発から業界5位と大手の一角に食い込んだ野村不動産ホールディングス。成長を託す資産運用事業の実情と課題を、鈴木社長に聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

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 当社は利益の過半をマンション分譲事業が稼ぐ構造が続いていた。財閥系不動産会社と違い、明治時代から受け継ぐまとまった不動産がなく、賃貸事業が弱かったためだ。

 2006年に上場するまでの準備期間のなかで、他社に追いつくためには、事業ポートフォリオを整備する必要があると考えた。

 ただし、銀行借り入れを行い、自社で固定資産を抱えて賃貸事業を伸ばそうとしても限界がある。

 成長を託す次の中核事業の最右翼は、資産運用開発事業だ。自社からは適切な規模のエクイティ出資にとどめ、外部の資本で運用や開発を行い、(野村不動産の)バランスシートをふくらませずに成長することを目指している。

 特に資産運用事業は、景気のよしあしにかかわらず安定的にフィーを稼げる。運用資産の残高が、明日半分に減ることはないし、手数料率もほとんど変わらない。これは他社の賃貸事業並みの「コア事業」になりうる。