●2016年2月:埼玉県小川町で83歳の夫が認知症の77歳の妻を刃物で刺して殺害。「妻を殺した」と警察に通報し、逮捕時に「認知症の妻の介護に疲れた」と話した。夫は留置場で食事を拒み17日後に死亡。

●2016年4月:兵庫県加東市で82歳の夫が、認知症の79歳の妻の首を電気コードで絞めた。同年10月の裁判で、「妻を献身的に世話し続けてきた結果の犯行であり、その経緯は同情に値する」と裁判長は話し、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。

●2016年5月:東京都町田市の都営住宅で87歳の妻が、寝たきりで認知症の92歳の夫の首を絞めて殺した。妻はベランダで首を吊っていた。夫は全盲で足が不自由でもあった。「堪忍。早く楽になろうね」「じいじ、助けてあげられなくてごめんなさい。ばあばと一緒にあの世に行きましょう」と書置きがあり、無理心中とみられる。

●2016年10月:東京都立川市で87歳の夫が介護していた84歳の妻を殺害し、自らも腹を刃物で刺して自殺した。団地を訪れた長男が発見し「両親が倒れている」と消防局に通報した。「生きる辛さは大変」とのメモが残されていた。

●2016年10月:滋賀県大津市で75歳の夫が心中しようと74歳の病気の妻を近くの川で溺死させたとして逮捕された。妻は9月末に退院したが、夫は「次の受け入れ先の病院がなく、悲観した妻と話し合って心中しようとしたが、自分は死にきれなかった」と容疑を認めている。

 こうした介護殺人の中でも、もっとも衝撃的だったのは2006年2月に京都市で起きた認知症の母を殺害した心中未遂事件だろう。

 京都市伏見区の桂川の遊歩道で、54歳の長男が、86歳の認知症の母親の首をタオルで絞めて殺害、自身も死のうとしたが未遂に終わった。

 父親の病死後に母親の認知症が進行し、長男は退職して介護にあたっていた。社会福祉事務所で生活保護を申請したが、「失業給付金が出ているのでダメ。頑張って働いて」と言われた。

 介護サービスの利用料や生活費も切り詰めたが、家賃などが払えなくなり母親との心中を考えだす。その日、コンビニで買ったパンとジュースで母親との最後の食事を摂る。思い出のある場所を見せようと車椅子を押しながら河原町界隈を歩き、そして河川敷へと向かった。