新たなビジネス形態
「ギグ・エコノミー」とは
お正月の新聞各紙が特集でこぞって取り上げていた話題に、シェアリングエコノミーがある。宿泊施設を仲介するエアビーアンドビー(以下、Airbnb)がその代表例だが、配車サービスのウーバー(以下、Uber)など世界的にサービスが拡大している。
このようなシェアリングエコノミーは、新たなビジネスモデルで、われわれの経済行動に大きな変化や影響をもたらす。新たなビジネスの開拓であると同時に既存の業態への挑戦でもあり、そのメリット、デメリットを含めて、規制の在り方などが議論されている。
シェアリングエコノミーを象徴する経済用語に、「ギグ・エコノミー」(gig economy)という言葉が使われる。これは、「インターネットを通じて単発の仕事を受発注する非正規労働によって成り立つ経済形態のこと」(投資用語集より)と定義されている。
ここでは、配車サービスのUberを取り上げ、わが国の働き方改革との関係や、税金、社会保険の問題を考えてみたい。
筆者の最大関心事は、Uberで働く「非正規労働」者、つまり、Uberと契約して運転手として働く人の税金や社会保険料負担である。現行の税制と社会保険料が、この「ギグ・エコノミー」に追いついていないという問題意識である。
実はこの問題は、すでに英国で財務大臣などが取り上げる大きな問題となっている。彼らの認識を、英国政府の文書から見てみよう。
この文書は、財務省の一部局で、英国の税システム簡素化を担うOffice of Tax Simplificationが、OTS Gig Economy Focus Paperとして公表したもので、ここから入手できる。