菅直人政権の迷走が著しいのは民主党の本質的な体質に由来するのではないか。
結党以来、民主党は“受け皿政党”であったと言ってよい。その体質を最も強く持っているのが菅直人首相個人であろう。
民主党は“有権者の受け皿”
それゆえに明確な政策や姿勢がない
民主党は、「3党嫌いの人、この指止まれ」という姿勢で伸長してきた。
すなわち、自民党嫌い、共産党嫌い、公明党嫌いの有権者の受け皿となって伸びてきたのである。
自、公、共の3党は、強固な支持基盤を持ち、良くも悪くも政策路線が明瞭だ。それだけにアクの強さを感じる人もいる。固定票が多いだけに、浮動票や無党派層は疎外感を持ちやすい。
特に、自民党嫌いが急増するにつれて、民主党の受け皿は山盛りになって、ついに一昨年、民主党政権が出現した。
受け皿政党は、明確な政策や姿勢を打ち出せば、3党嫌いの人の多くを受け入れることができないというジレンマがある。
だから「クリーンでオープンな政治」、「二大政党制」、「政権交代」程度のスローガンで済ませておかねばならない。
民主党が受け皿政党であることを示す象徴的な一面は、言うまでもなく「綱領を持たない政党」であることだ。
私は、かつて綱領を持たない政党が他に存在したかどうか知らない。それほど異常、異例なことである。
だから、有権者が民主党を受け皿として活用するのはともかく、民主党から立候補する人は、どう思ってきたのか不思議である。