リアルの店舗に
行ってもらうための動機付け

村井インターネットのブラウザを見て行動を起こしている人は、オンラインということを意識しているんですね。一方で、スマートフォンをベースにしている人たちは、自分たちがオンラインかオフラインかは、ほとんど意識していない。とはいえ、実際はインターネットに繋がっていて、そこから情報を得て行動を起こしている。

 われわれが着目したのは、スマートフォンを使っているユーザーに対して、オンラインで繋げてもらうということではなくて、スマートフォンというデバイスを持ちながら、リアルの店舗に行ってもらうための動機付けをすることです。それがナイアンティックの課題で、それを実現しようとやってきました。

 いま、ナイアンティックは三つのビジネスモデルを考えています。一つはゲーム内で起きるインナーパーチェス=ゲーム内課金です。ただ、われわれは一人の人に多くのおカネを支払ってもらうことは考えていなくて、広く薄く多くの人に使ってもらいたい。いつも内部でサステイナビリティ(持続可能性)という話をするのですが、継続して愛される企業になるということで、一瞬で燃え上がって終わるというようなビジネスはしたくないんです。

 それで二つ目がパートナーシップです。われわれには大きなビジョンがあって――“ADVENTURES ON FOOT”が社是ですが、実際に歩いていろんな冒険に出る。冒険に出ることで、いろんなことを発見して知的探究心を満足させる、歩くことで頭や体を活性化させて幸せになっていく。幸せな人が集(つど)うことで、世界はもっとよくなるだろう。そういう思いでこのサービスを展開したいと思っているので、それを支援して下さるパートナーさんを一生懸命探しています。それでイングレスの最初のパートナーがローソンさんだったわけです。

 三つ目がプラットフォームとして使っていただける仕掛けです。ただし、そこは二つにきっちり分けています。そもそもタッチポイントとして、いい商品をたくさん持っていないとトランザクション(取引)は起きません。いいコンバージョン(見込み客から顧客への変換)を生み出すには、いい商品のラインナップがすごく重要だし、おもてなしも、店内のレイアウトも重要でしょう。例えば、この部分はローソンさんに頑張ってもらう。

 しかし、お店のドアの前を行き来する人が少ないと、コンバージョンの数も少なくなってしまうので、できる限り人を集める。ここに我々のチャレンジがあります。

<<その後、複数の企業によるデータの共通化やプラットフォームは結局、一人の覇者に集約されるのかという根源的なテーマにも及んだ。前者ついては、ビッグデータ収集ありきではほとんどが挫折するため、目的を明確にすることが重要だとの指摘があり、後者については当面はプラットフォームの多様化が続くという予想と、結局は、一人勝ちになるという見方に分かれた。尾原氏が「やっぱりグーグルが勝つんですか?」と突っ込むと、井上氏が「そうでしょ」と即答すると、会場は爆笑のうちに議論を終えた。>>