気まずい時間を、心地よい時間に

 ビジネスシーンもそうですが、実際の日常生活でもっとも多い雑談の機会は、ちょっとした「すきま時間」にあります。

 たとえば、エレベーターでご近所さんと2人きりになってしまったとき、パーティーや勉強会などで周囲は知らない人だらけのとき。

 その沈黙は苦痛となり、早くこの時間が過ぎてくれないかと、祈るような気持ちになっている自分がいる……。
 また、知り合い同士でも、親戚や会社の上司、取引先、まだ仲良くなっていない人たちとは、話題探しも大変で、話が続かず、気まずい空気が流れてしまう……。

 エレベーターに乗り合わせた人となら、降りる階に到着するまで。
 駅のホームやバス停でばったり会った人となら、電車やバスに乗るまで。
 商談前なら、本題に入るまで。パーティー会場での「ご歓談ください」なら、次の催しが始まるまで。
「気まずい」時間は、シチュエーションによって異なります。

 この「気まずい時間」を「心地よい瞬間」に変えることができたら……。
ほんのちょっとの時間の、何気ない会話ができるようになるだけで、人づき合いに対する苦手意識はなくなり、コミュニケーション能力も高まり、あなたの好感度も確実にアップします。たかが雑談、されど雑談なのです。

 日本で暮らしている限りは、日本語で誰かとコミュニケーションをとる時間のほうが、外国語を使って会話をする時間より、圧倒的に長いでしょう。
 一生の中でもっとも多くの時間を費やすものを、よりよくしていくことは、決してムダではないはずです。

 次回は「10秒でできる雑談」についてお話したいと思います。
 (次の更新は1月17日予定です)

※この記事は書籍『会話がはずむ雑談力』の一部を、編集部にて抜粋・再構成しています。