21時から4時まで
社内ネットワークへアクセス禁止で
残業が減った！

小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中！
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。
たった2年強で平均残業時間「56.9％減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか？
『残業ゼロがすべてを解決する』の著者・小山昇社長に、人材育成のヒントを語ってもらおう。

「社内ネットワーク」へ入れなくする

 今から約5年前、日本経営品質賞の受賞歴があるＡ社の社長の話を聞いたときのことです。

 Ａ社では、「21時になると、社内システムのホストコンピュータにアクセスできない仕組みになっている」と言うのです。

 アクセスを許可すると、遅くまで仕事をします。でも、ネットワークに入れないと仕事ができないので残業が削減できます。

 この話を聞いたとき、「これはいい！」と感心しました。

 いつでも残業できると思うから、社員はダラダラと残業する。
 けれど、ネットワークを遮断すれば、その時間までに終わらせるので、集中して仕事に臨むようになる。

 しかし一方で、自称「パクリの天才」の私でも、「Ａ社の取り組みはレベルが高いので、落ちこぼれ集団の武蔵野では、マネはできない」と思っていました。

 それから1年ほど経ってから、ようやく気がつきました。

「Ａ社ができたのだから、うちもできるのではないか？
 あのときすぐにマネができなかったのは、オレ自身にやる気がなかっただけだ」

 そして、わが社もＡ社のマネをして、ネットワークへのアクセスを制限することにした。

 そして、システム部に、アクセス制限をかけるプログラムの開発を指示した。
 私は、経営計画発表会で「今後は21時30分をもって、社内ネットワークへのアクセスを禁止する」と全社員に向けて宣言しました。

 つまり、「21時30分までしか仕事をしてはいけない」のです。

「21時」ではなく、「21時30分」にしたのは、いきなりＡ社と同じ21時にするのはムリがあると判断したからです。