2011年3月1日、さえき(東京都)はホールディングス(HD)体制に移行した。純粋持ち株会社のさえきHDのもとに、事業会社としてさえきやフーズマーケットホック(島根県/長谷川徹社長)などが連なるかたちとなる。3~4年後の売上高1000億円体制をめざし、新たな成長戦略のステージへと突入した。聞き手/千田直哉(チェーンストアエイジ)

10年度業績は堅調に推移

さえき代表取締役社長 佐伯行彦
さえき・ゆきひこ 昭和29年11月27日生まれ。昭和61年2月 株式会社さえき設立、代表取締役社長就任。平成16年12月 株式会社たんぼ原徳(現、株式会社フーズマーケットホック)代表取締役会長就任。平成19年5月 協同組合セルコチェーン理事長就任。平成21年8月 株式会社茨城さえき代表取締役会長就任。

──2010年度決算は、グループ売上高400億円、売上高経常利益率2%を確保する見通しと聞いています。期首には10年度の見通しについて「業界全体が非常に厳しいものになる」と言っていましたが、締めてみれば堅調でした。

佐伯 08年9月のリーマンショック以降、製造業を中心に多くの企業が業績不振に陥りましたが、食品スーパー(SM)業界にはすぐに影響は出ませんでした。しかし、翌09年の夏ごろから、SM各社の売上に異変が起こり始めました。その年末にはある卸売業の幹部の方から「入社以来、こんなに悪い数字は見たことがない」との嘆息が漏れたほどに、SM各社は惨憺たる売上状況だったのです。

 そういう状況を鑑みて、09年末の段階では「10年度は厳しくなるだろう」と予測をしたわけです。年度初めは予想どおりの低調に推移しましたが、夏場の猛暑効果により、業界全体が救われたというのが正直なところです。

 大手各社さんの10年度第3四半期決算を見ると、売上好調によるものではなく、販売管理費を削減したことによる営業増益という構図です。ただ、そうは言っても、業界全体に蔓延していた消費大不振の「底」は脱したものと見ています。

──となると11年度の業界全体の見通しは、回復基調に向かう?

佐伯 そう思います。変化要因として、原材料価格の高騰が挙げられます。日本では消費不振の影響から、デフレ基調が続いてきましたが、世界全体では食料争奪戦は激化しており、インフレ傾向が強まっています。今年は日本でも商品価格が少しずつ上がってくるものと見ています。

 一方で、消費者心理の面にも変化が起こっています。リーマンショック以降2年も消費抑制を続けてきた反動から、「節約疲れ」を起こしているのです。