◆心をラクにする魔法の言葉
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が解説】職場復帰した人が陥りやすい、注意すべき「思考のクセ」とは?Photo: Adobe Stock

休職からの復職に立ちはだかる「理想と現実」

適応障害などで休職し、その後職場復帰を果たした際、以前のように元通りに働けることが理想です。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。会社側が必ずしも働きやすい新しい環境を整えてくれるわけではなく、元の部署に戻るのが難しかったり、休職の原因となった人物がいる環境へ戻らざるを得なかったりすることもあります。

復職するご本人も、休職前とは状態が異なります。申し訳なさや自信のなさを抱えながらの復帰となるため、理想通りに復職できるケースはむしろ少ないと言えます。すぐに転職活動ができる人もいれば、精神的な不安から転職に踏み切れない人も少なくありません。

苦しさの根本にある「過剰な期待」

復職後、「思うように仕事ができない」「職場に居場所がない」と思い悩む背景には、「期待」が隠れています。もっと仕事ができるようになりたいという自分への期待や、周囲から歓迎されたいという職場環境への期待です。

期待を持つこと自体は悪いことではありませんが、基本的にはストレスの原因になり得ます。自分への期待が高すぎると、そうではない現実とのギャップで自己評価が大きく下がってしまいます。また、職場に対する期待が高いゆえに、居心地の悪さやしんどさをより強く感じてしまうのです。

「居場所がない」という感覚も、実は「理想の居場所はこうあるべき」という期待があるからこそ生まれるものです。自らの期待が、自らを追い詰め、居づらい感覚を作り出している可能性もあります。

自分も環境もゼロベースで考える「ぼちぼち」の哲学

このような状況で大切なのは、自分に対しても環境に対しても、期待値を限りなくゼロに近づけることです。ここで役立つのが「ぼちぼちやる」というマインドです。

「ぼちぼち」という言葉には、何も期待しなくていいというニュアンスが含まれています。理想の働き方ができていなくても、歓迎される雰囲気でなかったとしても、「今日1日職場に行けて、なんとか過ごせたならそれでいい」と捉えるのです。これは決して自分をごまかすための言い訳ではなく、心を健やかに保つための心理的な真理でもあります。

無理に動かず、成り行きに任せる生き方

今の環境から離れたいと思っても、転職する勇気が出ないのであれば、無理に動く必要はありません。なんとなく日々をやり過ごし、本当に「どうしようもない」という限界が来れば、人は自然と別の場所へ動くものです。成り行きに任せることも、時には大切です。

休職を経て復帰し、働き続けているだけでも十分に素晴らしいことです。期待を高くしすぎてあらゆる状況にストレスを感じるようになる前に、まずは「ぼちぼち」を合言葉に、自分のペースで歩んでみてはいかがでしょうか。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。