日本を訪れる外国人観光客の増加は、今に始まったことではない。しか し、足もとの状況は異様とも言える。最近、「いくら何でも街に外国人が多すぎやしないか」と感じている人も多いだろう。空前の円高傾向にもかかわらず、観光客の数は減るどころか、加速度的に増え続けている。一見首を傾げたくなるようなトレンドの背景には、どんな理由があるのか? 消費が低迷する日本経済の頼みの綱、「ガイジン消費」の“いま”を探った。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
今年1月だけでも対前年同期比11.6%の増加
空前の円高傾向なのになぜ外国人観光客が増える?
周囲を見渡せば、手に抱え切れないほどの土産物を持って闊歩する中国人や韓国人、繁華街の日本風居酒屋で気炎を上げる欧米人たち――。「何だか最近、街に外国人が多くなった」と感じている人は、いないだろうか?
それは決して、あなたの思い過ごしではない。実際に、日本を訪れる外国人観光客の数は急増している。
日本政府観光局のデータによると、2010年における訪日外国人の旅行者数は861万人。2003年には521万人だったことを考えると、大幅に増えていることがわかる。ちなみに、03年は小泉純一郎元首相が訪日外国人の数を倍増する方針を打ち立てた年でもある。
倍増とまではいかなかったが、リーマンショックに端を発する大不況の影響で世界的に個人消費が落ち込んだことを考えれば、外国人観光客の数はおおむね堅調に伸びていると言えよう。
国別に見ると、アジア諸国が大多数を占め、韓国が244万人でトップとなっている。2位は141万人の中国で、2010年に初めて台湾を抜いた。
日本を訪れる外国人観光客の増加は、何も今に始まった現象ではない。それは、世界的な不況が訪れる以前から続いていたことだ。しかし、足もとの旅行者数の増加はこれまでになく加速している。月ベースで見ると、今年1月には対前年同期比で11.6%も増えているのだ。