「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」
ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏がそう絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者の森武司氏は2005年にFIDIAを創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円の企業へと成長させた。その森氏が率いるFIDIAグループには、彼の価値観を体現する個性的なメンバーが数多く存在する。今回登場するのは、グループ企業イルミルドでAmazon販売チームの責任者を務める加納敬章氏。社内で“最速出世”の記録を持つ加納氏が語るのは、仕事のスキルではなく、「家族との会話」についてだった。一体なぜなのか。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

家族に応援される伝え方! 意識すべきは「固有名詞」
――仕事に熱中すると、どうしても家族との時間が減り、家族をないがしろにしてしまっているのではと悩む人も多いと思います。仕事と家庭のバランスは永遠の課題です。加納さんも結婚されていますが、どのようにバランスを取られていますか?
加納敬章(以下、加納):妻はもともとFIDIAとはまったく関係のない人ですが、僕は家でも仕事の話をよくします。そのときに意識しているのが、“固有名詞”をきちんと出すことです。
たとえば、「●●さんと今こんなプロジェクトをやっていて…」「今日は▲▲さんとの会議でこういう議論になって…」と、名前を出して話すようにしています。
上司が~、部下が~、だと漠然としてしまいますよね。
人の名前が出るとエピソードに立体感が出て、相手にもストーリーとして届くんです。飲みに行った時の写真を見せて、「これが■■さんだよ」なんて紹介もします。
そうすると妻も「ああ、あの人ね」と覚えてくれ、仕事の話を理解してもらいやすくなります。
曖昧な伝え方では、家族は仕事への興味を持ちにくく、結果的に応援を得る機会を逃してしまいます。家族からの理解や協力がないと、仕事のストレスを共有できなかったり、急な残業時に精神的な負担が増したりと、パフォーマンスにも悪影響が出かねません。
「楽しい」も「しんどい」もセットで
――仕事のことで、家庭内でトラブルになることはありませんか?
加納:あります(笑)。たとえば、夜中にパソコンを使って作業したり、電気をつけたままにしていたりすると、やっぱり迷惑をかけてしまうこともあって。
だからこそ僕は、仕事のことを話すときには「楽しいこと」と「しんどいこと」の両方を伝えるようにしています。
たとえば、「この商品の立ち上げを担当していて今がすごく重要なフェーズ。だから正直めちゃくちゃしんどい。でも、うまくいったらこういう成果が出ると思っていて…」というふうに。
「しんどい」と伝えるだけでは愚痴になってしまいますし、「楽しい」だけでは不真面目に遊んでいるみたいになってしまう。
でも両面を話すと、「なるほど、それだけ本気でやってるんだな」と理解してもらえる。
そうなると、「それなら頑張ってね」って応援してくれるようになります。
結局、応援って“納得感”があってこそなんだと思うんです。
普段の会話は長期スパンで捉える
――その“伝え方”は、仕事以外の話でも意識しているんですか?
加納:いえ、正直、そこまで細かくは考えていません。
でも、普段のやりとりも「一つひとつの出来事」ではなく、「長い目」で捉えています。
楽しいことがあったら、素直にそれを伝える。辛いときは辛いと伝える。あまり無理に整理したりせず、日々の中で気持ちを共有していけたらいいなと思っています。
そもそもFIDIAには、「家族を大事にする」風土があるんです。家族との絆を大切にして、家族に協力してもらうことで、仕事は加速度的にうまくいく。
その価値観を一番体現しているのは、森社長じゃないでしょうか。
著書『スタートアップ芸人』にもその姿勢が描かれていて、「家族との関係づくり」が、実はビジネスでも武器になるということがよくわかります。
家族との関係性が
仕事の加速装置に
――最後に、この記事を読んでいるビジネスパーソンに向け、何か伝えたいことはありますか?
加納:そうですね。僕自身の実感として「家庭が味方になってくれると、仕事は加速度的にうまくいく」と思っています。
そのためにも“協力してもらう準備”が必要なんですよね。
つまり、自分の状況や思いをちゃんと伝えること。誰と、何を、なぜ頑張っているのかを、わかりやすく話す。
「今日はちょっと忙しかった」ですませるのではなく、「今、こういう案件があって、こんな理由で頑張ってる」と伝えるだけでも、相手の受け取り方はずいぶん変わると思うんです。
逆に、家庭が仕事の足かせになってしまう人は、家族に「今何が起きているのか」をきちんと伝えられていないのかもしれません。
この手間を惜しむと、残念ながら家庭からの応援は得られにくくなり、結果として仕事の効率やモチベーションにも悪影響が出てしまいます。
――なるほど、応援してもらうためにも「伝え方」が大切なんですね。
加納:そうですね。『スタートアップ芸人』には、そういった「身近な人を巻き込む工夫」や「誰かと一緒に前に進むための考え方」がたくさん書かれています。
僕自身、何度も読み返してヒントをもらってきたので、同じように悩んでいる人にとっても、すごく参考になると思います。
(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)