1月20日、トランプ氏が米大統領に就任した。就任後も、過激な発言で企業を狙い撃ちして批判する“口先介入”は続く見通しで、日系企業は戦々恐々としている。トヨタ自動車に続くターゲットはどの企業なのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)
「豊田(章男・トヨタ自動車)社長が米国に100億ドルを投資し雇用をしっかり守ると約束したのに、トランプは“サンキュー”とは返してくれなかった」
あるトヨタ関係者は、そう自嘲気味に言う。1月20日に就任したトランプ米大統領は、メキシコ新工場計画を撤回したフォード・モーターや、米国設備投資を上乗せしたフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)については、ツイッター上で称賛の言葉を発信していた。
かねて、トランプ大統領は製造業の国内回帰による雇用創出、通商政策見直しの方針を掲げており、日米の自動車メーカーが新大統領の“口撃”に翻弄されている。
次なる標的はどの企業なのか──。「就任後も“口先介入”が継続するのは間違いない」(自動車メーカー幹部)として、日系企業は警戒感を強めている。
とりわけ、戦々恐々としているのがメキシコに進出している自動車関連メーカーだ。
世界の大手自動車メーカーは、総じて米国を最重要市場と位置付けている。近年、各社は北米自由貿易協定(NAFTA)の関税メリットと安価な労働力のあるメキシコに生産拠点をシフトさせてきた。2015年にメキシコから輸出された261万台のうち、75%は米国向けである。
すでにトヨタやフォードなどの六つの新工場建設が計画され、主要メーカーの生産台数だけで15年の346万台から20年には586万台まで激増させる予定だった。