活発なグローバル企業のM&Aと
今年設立されたスタートアップの注目企業
上記以外にも現地で1億ドル以上の買収を繰り返す会社として、オラクルとシスコシステムズがある。オラクルは、ラベロ・システム(Ravello System) 社を4.3億ドルで買収。シスコシステムズは、リアバ・セミコンダクター(Leaba Semiconductor)社を3.2億ドル、クラウドロック(Cloud Lock) 社を2.9億ドルで買収するなど、この2社の3案件だけで10億ドル(1000億円)をゆうに超える、イスラエルにとってはありがたい買い手となっている。目立たない存在ではあるが、両社は他のグローバル企業同様、イスラエルのスタートアップ・エコシステムを確実に形成している。
2016年スタートアップの買収額は、100社以上の買収が行われたとされるイスラエルで、上述の8社だけで73億ドルと8割を超えている計算になる。さらに1億ドル(100億円)以上のイグジットは11件あり、これを加えると80数億ドル程度になる。つまり、それ以外のいわゆる金額が小さい買収も盛んにおこなわれているのも、イスラエルの特徴である。こうした買収劇の裏で、当然、同数のシリアルアントレプレナー(連続起業家)予備軍が生まれてくるのもこの国の特徴である。
2016年に設立された企業で注目企業を上げると、サイバー保険関連のサイバーライト(Cybewrite)社、ファイルのストレージ、共有ソリューションのオーバーマインド (Overmind)社、自動運転関連のサーマルセンシング(いわゆる熱感知)のオリックスビジョン(Oryx Vision)社などであろうか。2016年に設立された企業は、早ければ1~2年後に注目を集めるようになるであろう。