シリコンバレーに拠点を置くグローバル企業の多くが、「中東のシリコンバレー」イスラエルにも拠点をつくっており、日本企業も遅ればせながら進出し始めている。その理由と、進出のための新しい手法として急増するアクセラレータについて、最新動向をレポートする。
2016年も活発なイスラエルのスタートアップ環境
中東のシリコンバレー、イスラエルの2016年は、引き続きスタートアップが活発な状況が続いている。半年が過ぎた時点で、スタートアップに投資された総額は、28億ドルにのぼる。本連載でもお伝えしている通り、イスラエルの特徴は、「投資したお金がしっかり戻ってくるエコシステムが成熟している」ことである。
スタートアップの買収に目を向けると、2016年前半のスタートアップの買収総額は、35億ドル程度である(※イスラテック独自調べ)。さらに7月末には、オンラインゲームのPlaytika社が中国のShanghai Giant Network Technology社に44億ドルで買収されるニュースがあり、7月が終わった時点で、すでに80億ドル(1ドル100円換算で8000億円)に到達し、2016年の買収総額も昨年同様、日本円で1兆円を超えることになりそうである。
今年に入って設立された企業は、すでに300以上あり、昨年と同様のペースである。今年も600~800社程度の企業が設立されるだろう。
今年設立された注目企業は、サイバーセキュリティ関連では、セキュリティをサーバーサイドやクラウドでなく、ユーザーサイドのUSBでやってしまおうというチャレンジをするCyber Sepio Systems社、自動運転関連では、光を用いたリモートセンシング技術を応用したInnoviz社、農業用のドローン開発をするSkyx社であろうか。