日本とイスラエルの
「潮目」が変わった
日本とイスラエルの関係も変わりつつある。昨年末の12月9日にグローバルブレイン・アライアンスフォーラムが、六本木ヒルズの49階アカデミーヒルズで開催された。主催者である日本の独立系ベンチャー・キャピタル、グローバルブレインとイスラエルのつながりは、2016年1月、人工知能を活用したモバイル広告配信のユーアッピ(YouAppi)社への投資がはじまりである。12月に入り、ドローンを使った建設業界向けのソリューション提供のドロノミー(Dronomy)社へ出資を発表。同社への投資は、欧米に追随する形でなく、リードインベスターとしての投資である。ドロノミー社は同イベントでブースを設けた。
同フォーラム中、ランチ時間には、3社のイスラエル企業がピッチした。
人工知能(AI)関連で2社。サーバー障害の分析を、AIを用いてソリューションを開発するルームシステム(Loom System)社、もう1社は、AIを用いて組織のフィッシングメール対策ソリューションを開発するアイロンスケール(Iron Scales)社。最後は、宇宙関連。人工衛星の延命・リロケーション・廃棄などのオペレーションを行うイフェクティブ・スペース・ソリューション(Effective Space Solution)社である。(2014年の本連載第5回でも紹介)
日系企業の2015年の投資額は52億円と、2年前の4.7倍、3年前の26倍とウナギのぼりである。日本でも、グローバルなスタートアップについて取り上げられる中で、イスラエルのスタートアップが語られるようになり、新たなステージに入ってきていると感じる。本イベントは在日本イスラエル大使館の協力のもと、開催された。イスラエル以外からは、韓国、シンガポールなどのスタートアップも参加した。
従来、このようなイベントは在日本イスラエル大使館主催で開かれることが多かったのに対し、大使館に協力をしてもらうものの、日本のVCの主催であり、イスラエル企業を独自にイスラエルから招いている点が、対イスラエル投資に積極的になってきていることを示している。今回のグローバルブレインのイスラエル企業への投資は、日本・イスラエル関係の「潮目」が変わりつつあることを示す一つの出来事のように著者は感じた。