脱サラ・自営する人は退職前に病院へ行っておくべき理由

 春は、出会いと別れの季節。

 この年度末を区切りに、退職したり、転職したりして新しい人生を歩む人もいるのではないだろうか。

 会社員の場合、社会保険の加入手続きは勤務先の会社が代行してくれる。保険料も給与やボーナスから天引きされているので、ふだんはその存在をあまり意識することはないかもしれない。だが、会社を辞めると同時に、原則的に社会保険からの給付は受けられなくなる。

 退職時には、各種公的保険の切り替えの手続きをしておく必要があるが、間を空けずに別の会社に就職する場合は、次の勤務先が社会保険の加入手続きをしてくれる。注意しなければならないのは、脱サラして自営業になる場合だ。

 自営業になると、原則的に国民健康保険、国民年金に加入して、自分で保険料を納める必要がある。だが、会社員の社会保険に比べると保障してもらえる範囲が狭く、会社員時代は当たり前だったものでも自営業になると受けられないものもある。

 病気やケガの保障というと真っ先に思い浮かぶのが健康保険だが、年金保険も忘れてはならない傷病の保障だ。病気やケガをして障害が残ったときには障害年金が支給されるが、会社員時代にはあった障害厚生年金の上乗せが、自営業になるとなくなってしまう。

 だが、退職前にちょっと病院にかかっておくだけで、自営業になっても厚生年金から上乗せの保障を受けられる可能性があるのだ。

会社員の障害年金には
自営業にない上乗せがある

 年金というと、老後にもらう「老齢年金」にばかり目がいきがちだが、日本の年金制度には、他にも「遺族年金」「障害年金」が備わっている。

 そのうち、病気やケガをして障害が残った場合に保障を受けられるのが「障害年金」で、障害基礎年金と障害厚生年金がある。

 まず、職業に関係なくもらえるのが「障害基礎年金」だ。もらえる基礎年金額は障害の程度に応じて異なり、1級が97万5125円。2級が78万100円。子どもがいる場合は、第1子・第2子がそれぞれ22万4500円、第3子以降はひとりにつき7万4800円が上乗せされる(2017年2月現在、子どもは18歳到達年度の3月31日を経過していな子。障害者は20歳未満)。