このマンションは、江崎グリコの工場跡地に立っているが、「2年ほど前の目玉物件。土地の入札で野村さんは、数年前の相場の倍くらいの価格で仕入れたはず」(業界関係者)との指摘もあり、販売不調であっても、容易には値下げできない苦労がにじみ出ているようだった。

 今、新築マンションが驚くほど売れていない。

 その月に新規供給されたマンションの契約率を表す初月契約率が、好不調のラインを示す70%を割り込んでいる。

 しかも、1期当たりの販売戸数を極限にまで絞り込むことで、契約率を高く見せる“かさ上げ”を図った上でのことだ。

 極め付きは、新規供給戸数の大幅減少だろう。不動産経済研究所によれば、2016年の新築供給戸数は3万5772戸。ピークだった2000年の9万5635戸の半分どころか、4割弱にまで沈み込んでいるのだ。

 片や、中古の成約戸数はじわりと上昇を続け、16年には3万7189戸を記録(東日本不動産流通機構調べ)。新築の供給戸数を中古の成約戸数が抜き去るという“逆転現象”が起こっている。

 新築が売れない理由は明白だ。新築マンションの価格が高騰し過ぎたため、購買層の手が届かないレベルに達しているからだ。