値上がり幅が大きい都心ほど
不動産価格は本当に下がりやすいのか?

足もとで世間の不動産価格は横ばいとなっているが、今後下げ相場に転じると、値上がり幅が大きかった都心ほど下げ幅が大きいように思える。果たして、それは本当だろうか

 首都圏のマンション価格はこの3年で23%上昇した。都心3区では37%と都心で高騰を見せ、周辺3県では15%ほどと値上がり幅に乖離が生じた。今後、物件価格が下がるとすると、値上がり幅の大きな都心ほど下がりやすいと考えがちだが、本当にそうなのだろうか。都心に物件を持っている人も、これから都心で物件を買おうとしている人も、気になるところだ。

 価格形成の根拠を明らかにしておかないと、今後の予想すらできなくなる。以前の予測結果の検証を兼ねて、今後の価格を占うことにしよう。その見通しは、購入判断を明るくすることになるであろう。

 都心3区の成約m2単価は、この半年横ばい傾向になっている。これに伴って、売り出されて成約に到っていない在庫の単価も横ばいになり始めた。相場は「上昇」から「横ばい」に変化している。これが、現状認識である。

◆都心3区の成約と在庫のm2単価

(出典)東日本流通機構からスタイルアクト作成 拡大画像表示

 これを在庫の急増から予測したのが、2015年10月に掲載した連載第16回「マンション価格がいよいよ頭打ち!今ここで決めたい自宅の売買」だった。予測において、上がる要因としてはマイナス金利まで踏み込むに到った金融緩和がある。緩和された資金は担保の取れる不動産に積極的に流れて行き、ローン金額である負債が増える。貸借対照表がバランスするがゆえに、負債が増えれば資産はインフレするので予想はしやすい。

 また、建築費の高騰は東京オリンピック前まで落ち着きそうにないので、新築価格が下がることは当面ない。逆に下がる要因として、中古の在庫急増による需給バランスの緩和、杭の問題を端緒とする需要減退で新築の売れ行きが悪化したことを挙げられる。プラス要因とマイナス要因では、金融緩和の要因の方が強く、需給バランスは市況に合わせて調整可能なので、相場が高止まりの高原状態になるであろうと予測している。