「引きこもり」になりやすい人たちは、人一倍、感受性が強いのではないか。不安定になるのも、一般の人には気づきにくいようなことさえも敏感に感じ取ってしまって、全身で重く受け止めてしまうからではないか、と思えてくるのである。

 でも、こうした繊細な感受性は、大きな武器になる。もちろん、それを実現するには、社会で認めてもらえるためのスキルが必要だ。

「引きこもり」の人たちが、社会から離脱したまま、その潜在能力を発揮できる場がどこにもないことは、日本にとって社会的損失ではないかと思える所以である。

自宅に迫りくる大津波から奇跡的に生還した
「引きこもり」男性の知られざる思い

 その一方で、痛感したのは、震災で不安定になりやすい「引きこもり」の人たちも、災害弱者なのではないかということである。

 実は、そんな「引きこもり」の心性を集約したような出来事が話題になった。

 岩手県の海岸近くに住み、勤めていた会社が倒産した後、約15年引きこもっていたという48歳の男性は、迫りくる大津波にも逃げようとしなかったという。

 報道によると、70歳代の母親と2人暮らしだった男性は、地震の後、母親から再三「逃げなきゃダメだ」と訴えられても、「避難はおっくうだ」と聞き入れなかった。

 仕方なく母親だけが逃げ出した後、男性のいる自宅は、濁流に呑み込まれる。

 しかし、男性は、屋根や骨組みなどにしがみつき、奇跡的に生還。避難所に運び込まれた。

 母親とも再会し、母親は、涙を流して男性を抱き寄せた。男性は「避難所の生活は、そんなに苦ではない」と話しているという。

 この記事を知ったとき、とっさに筆者は、この男性は自分が避難所に行くことで、これ以上の迷惑を周囲や社会にかけたくないと気遣ったのではないかと考えた。

 ところが、当事者の人たちに聞いてみると、どうも見方が分かれる。