高島 「経理担当者がラクになる」という言い方は、従業員思いの社長には響くこともあるのですが、「経理が楽になったら経理の仕事がなくなるじゃないか」と言われることもあります。そんな時は「クラウド会計で経理の方の仕事を2時間圧縮できれば、営業に出向いたりチラシをつくったりと、他の仕事ができます。広報やマーケティングのような仕事も任せてみてはどうでしょうか」という話をすると、納得していただけることが多いですね。

河江 経理プラスアルファの仕事、特に「売上を伸ばす仕事ができますよ」と伝えるということですね。

高島 はい。売上を伸ばすことに興味をもたない社長はいませんから。私が最も伝えたいのは、「生産性を上げることが財務改善にも繋がる」ということです。クラウド会計といえば「経理がラクになる」というイメージが強いのですが、事業拡大の強力な基盤になる、という認識で使ってもらいたいと思っています。

クラウドで働き方を改革すれば、残業の削減も叶う

河江 そのほかにも、経営者が魅力を感じるポイントはありますか?

高島 「残業代が減る」という観点でプッシュすることもあります。たとえば、現場から帰社して報告書を書く社内ルールがあって、報告書の作成がすべて残業時間になっていた住宅関連企業がありました。その残業代がどうにかならないかと相談を受け、『kintone』というクラウドサービスを活用して、日報を現場で書いて送り直帰する仕組みを提案し、うまく機能しました。

地方の小さな企業こそクラウド会計の導入が効く!土井貴達(どい・たかみち)
1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

土井 お話を聞いていると、地方でこそクラウドサービスが効果的に機能するという気がします。クラウド会計が補助金の対象になれば、普及スピードも上がるのではないでしょうか。

高島 私も、IT関連の補助金には期待しています。ただし、地方には、少々疑問符のつくシステム会社もあって、「クラウドシステムを入れたら終わり」という感じで、活用法のレクチャーなどのフォローアップが行われないことも多いのです。その影響で、「クラウドは危険だ、結局ダメだ」というイメージを持たれることを恐れています。クラウドサービスは、これからも新しいものが次々登場するはずですから、その1つひとつのメリットを理解し、導入する企業ごとに的確に選別して利活用を検討することが大事です。そこを余裕のない企業が自前で判断することは難しいですから、そんな時こそ、会計事務所が力を発揮するべきだと思っています。

土井 我々税理士に求められる能力が、会計を超えて、業務効率全般に渡るものに変わってきたということですね。

 意思決定がトップダウンだったり、規模が小さい企業こそ、段階的なクラウド導入の小回りが利く。「クラウド会計」は、経理の仕事を効率化するだけでなく、事業継承をやりやすくしたり働き方を改革するといった大きな変革をもたらす可能性を秘めている。

地方の小さな企業こそクラウド会計の導入が効く!