深センの1週間は
シリコンバレーの1ヵ月

 賽格電子集団の目論見はある程度あたったのだろう、大量のモジュールがやりとりされることによって、深センから大量の電機メーカーが登場するに至った。「カメラモジュールと通信モジュールを組み合わせるとカメラ付き携帯ができる」ように、半完成品の形で流通するモジュールを組み合わせると製品ができる。中国のニセ製品でよく言われる「山寨」(Shanzhai:シャンザイ)である。

 山寨は山岳要塞という意味で、中央の目の届かないところで勝手なことをする梁山泊のような事柄を指す。もともとは罵倒語だったのだが、最近の発明家の間では肯定的に使う人もいて、英語圏のハックやハッカーと通じるものがある。

 日本などで行われている通常の製品開発では、深センではモジュール化されている部分まで含めて部品を選び、設計することになる。

 実際に深センでタブレットなどを製造する企業「JENESIS」の藤岡淳一社長が東京大学での「メイカーズ×アジア」イベントで語ったところによると、Androidセットトップボックス一つ開発するのに日本だと1年近い製造期間・1300万円の設計開発費(製造にかかるコストとは別)・1万個製造として1万円の製品単価になるところを、深センのモジュール類を使用すると3ヵ月・50万円の設計開発費・1000個の製造を5000円で行えるという。期間が6~7割引になり、設計費が9割以上削減され、製造ロットが10分の1になる。


深センで家電を製造するJENESISの藤岡淳一社長による講演

 初期投資が小さくなり、華強北という市場があることで、「とりあえず作ってみてから考えよう」的なプロジェクトが多発し、電気街は奇妙な山寨新製品であふれる。

(上)ショーケース内の人形や車のオモチャのようなものはすべて携帯電話 /(下)大きいボタンと限定された機能の、日本で言う「らくらくホン」。老人机という身も蓋もない名前で製造されて売られている 拡大画像表示