昨年7月にはAmazonが「ドローンスーパーウエイ構想」を発表。日本では昨年12月に改正航空法(通称ドローン法)が施行され、飛行のルールも定まった。ほぼ同時期に千葉市がドローン特区に指定され、実用実験に取り組む。いま商用化に向けて、ドローンが熱い。
ただし、民生用のドローンでは、中国のDJI、仏パロット、米3Dロボティクスが、3大メーカーで、日本メーカーは出遅れている。DJIは2006年の創業で今年ちょうど満10歳だが、グローバルでは従業員数、約4000人を抱えるまでに成長した。本社は中国を代表する国際都市・深センにある。シリーズ最新機の「PHANTOM(ファントム) 4」を売り出したDJIジャパンの呉韜(ごとう)代表取締役に、日本市場の位置付けと攻略法について聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」論説委員 原 英次郎)
民生用ドローンでは
世界シェア7割
2006年3月立命館大学理工学部ロボティクス学科卒業、08年3月立命館大学大学院理工学研究科卒業、08年4月オムロン技術本部 入社、13年8月DJI JAPAN設立、代表取締役に就任。 Photo by Eijiro Hara
――そもそもどういうものが「ドローン」と呼ばれているのでしょうか。
日本では正確には、小型無人航空機のことで、遠隔操作または自動操縦によって飛行させることができるものを言います。その中でも、プロペラが複数あるマルチコプターが、ドローンと呼ばれています。
――DJIは民生用のドローンではシェア7割を謳っていますが、なぜシェア7割と推計しているのですか。
例えば、日本では昨年12月に法律(航空法)が改正、施行されて、制限区域でドローンを飛ばすには、国交省に申請し許可を得る必要があります。申請書には機体の製造メーカーも書くことになっており、それを見ると約7割でDJIの機体が使用されているからです。
――日本における事業の目標について、教えてください。
DJI JAPANの社員は現在、約70人おり、そのうち約30人は研究開発部門にいます。日本はDJIにおける研究開発拠点の一つという位置付けですが、マーケティング、セールス、サポートなどすべての機能を持っています。日本での目標販売台数は公表していませんが、例えばカメラなど他の製品においても、世界に市場おける日本のシェアは5~10%です。ドローンにおいても、同じようなシェアになるのではないかと思います。
――日本で市場を拡大するために、どのような展開を考えていますか。
まずは、正しく使える操縦士を増やす必要があります。そのために「DJIキャンプ」と呼ぶ講習会を実施しています。DJIキャンプは今年の1月からスタートし、3年間で1万人の操縦士を育成する計画です。キャンプへの参加は無料です。第1回は横浜で開催しまたが、全員企業からの派遣でした。彼らをインストラクターとして養成し、会社に戻って操縦を教える。そのような流れを想定しています。