米国の民主主義は
誤りを正すことができるか

 今後、トランプ政権が過ちに気づくことができるかを考えると、残念ながら大きな期待を持つことはできないだろう。トランプ大統領は「裸の王様」の振る舞いを続け、最終的には政権がレームダック状態に陥る可能性がある。そこで重要なのが、米国の民主主義の力だ。議会、世論がトランプ大統領の誤った政権運営を修正していくことが求められる。

 第2次世界大戦後、米国は世界の政治・経済の基軸としての役割を果たしてきた。その背景には、多様な価値観を受け入れることで経済成長の基盤を形成した、民主主義の懐の深さがある。それが、旧社会主義圏や新興国などからの人の流入を支えた。それだけに、米国社会が多様性という価値観の重要性を再確認し、公正さを備えた政治への回帰が進むことを期待したい。

 すでに民主党は入国制限への対抗措置として、財務長官承認の採決を延期した。一方、共和党は、トランプ大統領の政権運営の様子を見ようとしている。社会全体に反トランプの機運が盛り上がるには、いましばらく時間がかかるかもしれない。

 心配なのは、その間に欧州各国に“ポピュリズム政治”が広がるリスクがあることだ。足元、フランス大統領選挙への不透明感が高まっている。有力候補と考えられた右派のフィヨン元首相に不正疑惑が出ているからだ。そのため、極右、国民戦線のル・ペン党首が当選する可能性は、一層、排除できなくなってきた。

 ル・ペン女史が大統領の座につけば、フランスはEU離脱を問う国民投票を実施するだろう。英国のブレグジットに続く“フレグジット”(フランスのEU離脱)のシナリオは現実味を帯びてくる。今以上に、自国第一のポピュリズム政治への支持も高まるだろう。そうなると、横暴な政治を進めるトランプ政権への批判にも、変化が起きるかもしれない。

米中になびく国が増えれば日本は孤立化する
「新しい経済連携」の策定を目指せ

 今後、わが国は米国の民主主義の実力を信じ、様子見に徹すればよいわけではない。求められるのは、自由貿易体制などを重視してきた国際政治・経済の歴史に則り、正しいといえることを正しいと、冷静に主張するスタンスを明確にすべきだ。