復刻と再現は違う。当時のレシピをただ再現しただけでは現代人には受け入れられない。メンバーは試食と会議を重ね、調査を進めるうちに大木市蔵も、ハムやソーセージの味を時代にあわせて変化させていたことに気づく。

「結局、昭和40年頃、千葉の大木ハムで製造されていたハムやソーセージの味から復刻させました」

大木式ハム・ソーセージの製品ラインナップ

 こうして出来上がった大木式ハム・ソーセージは、羊の腸を使ったいわゆるウインナーが2種類とフランクフルト、それにベーコンとハムというラインナップ。フランクフルトは「実用豚肉加工法」には書かれていないが、大木ハムで働いていたこともある大木公一氏が当時の記憶を頼りにレシピを再現した。スパイスが効き、絶品だ。パッケージは播州ハムが保管していた当時のものをアレンジした。

 大木市蔵の時代、合名会社大木商店のパンフレットには(大木式は)防腐剤やツナギ(メリケン粉、片栗、米粉)は用いない、とあった。その時代、すでに大量生産を前提としたアメリカ式のソーセージが市中に出回りはじめていた。

 しかし、大木は大量生産ではない、手作りの味を守った。時代にあわせて味は変わっていくかもしれないが、この精神は変わらない。

「化学調味料や増量剤を使わず、添加物も必要最低限です」

 新鮮な豚肉を使うことで、添加物の量も低く抑えることができる。ソーセージは誤解されがちな食べ物で、例えば発色剤と表示される亜硝酸Naは悪く言われる添加物の代表だ。しかし、その使用の歴史は16世紀から17世紀からと古く、使用目的は発色させるだけではない。食中毒を起こすボツリヌス菌の繁殖を抑え、豚肉の風味を良くする働きがあるのだ。

 ちなみに亜硝酸Naによって体内で発がん性が疑われているニトロソアミンという化合物が生成されるが、今ではその危険性は少ないと考えられている(マギーキッチンサイエンスより)。塩も食べ過ぎると毒性があるように、健康のためには食事全体のバランスを考えた方が賢明だろう。