“ライカMシステム”の新たな基準となるレンジファインダー式デジタルカメラ「ライカM10」が発売された。
Mシステムの「M」とは、ドイツ語で計測ファインダーを意味する「Messucher」に由来するもので、撮影範囲の外側もファインダーで捉え、より広い視野で構図を決めることができるため、その場の空気感をそのままにシャッターチャンスを逃さないと、誕生以来60年以上にわたって多くのプロカメラマンや写真愛好家に支持されてきた。
ライカM10では、この伝統的なフォーカス技術を最適化することで、被写体をしっかり捉えるために視野を30%広げ、ファインダー倍率を0.73に引き上げた。アイポイントの距離も大きく広げたため、眼鏡を掛けていてもビューファインダーを使用しやすくなった。
M型フィルムカメラは、人間工学に基づいたデザインで手に馴染むコンパクトなボディが特徴で、M型デジタルカメラにもそれが望まれていた。そこでライカM10では、トップカバーの奥行きを現行のデジタルカメラ「ライカM(Typ 240)」より約4mm薄くし、これまでのM型デジタルカメラの中で最もスリムなフォルムを実現した。
主要コンポーネントには、ライカM10のために開発された2400万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載。特にダイナミックレンジ、コントラストの再現性、シャープネスと分解能に優れ、描写性能に関する全パラメーターが向上した。独自のマイクロレンズ構造を採用することで非常に大きな開口が可能になり、光が斜めからセンサーに入射してもフォトダイオードで正確に捉えることができる。
また、センサーのカバーガラスがIRカットフィルターとして機能するので、差し込む光の余計な反射は複数のガラスレイヤーが防いでくれる。この新設計のセンサーにより、ISO感度域も広がり、ISO100~50000の範囲で設定できるようになった他、高感度で撮影した際のノイズ特性も向上。光が十分にない条件下の撮影でも卓越した描写性能を発揮する。
しかも、ISOクリックダイヤルがトップカバーに設けられ、M型デジタルカメラで初めてISO感度、フォーカス、絞り値、シャッタースピードなどの写真撮影に必要なパラメーターを、電源オフのまま、または液晶モニターからメニューを呼び出すことなく設定できるようになった。操作がダイレクトになり、目立たずに撮影することができる。
さらに、高速処理の最新世代イメージプロセッサー「LEICA MAESTROⅡ」を採用し、2GBのバッファメモリーを搭載しているので、最高5コマ/秒の高速連写を高精細で実現できる。決定的な瞬間を逃すことのない、これまでの中で最速のM型カメラである。
ライカM10では、基本的に必要な設定については直感的に操作できるよう、カメラ背面の操作部はジョイスティックと「プレイ」「ライブビュー」「メニュー」の3つのボタンのみに絞られ、特定の設定は撮影者の好みや撮影状況によって調節できるようになっている。M型カメラとして、初めてWi-Fi機能も内蔵。Apple社のモバイル端末に送信して編集したりSNSにアップして共有することもできる。
ライカM型カメラは、余計なものを省き、写真撮影に本当に必要な要素だけを追求してきた。この変わらない哲学と時代に合わせた変化、それがライカM10に結実している。
(ライカサポートセンターTel 0120-03-5508)