超広角のレンズを活かした画像はおもしろい。僕が多く仕事をしているクルマの分野ではルーフに取り付けて走行シーンをとるのはもはや“当たり前”。自分の体験を伝える手段として、周囲の雰囲気をとらえるのに長けた超広角レンズはいい道具だからだ。
ロサンジェルス空港は朝着いたせいか思っていたほど混んでいない。僕(たち)を出迎えてくれたのはジャガー・ランドローバーのシャトルサービスである。ロサンジェルスでニューモデルのお披露目があるのだ。レンジローバーとジャガーXJに分乗して市内へと向かう。
ホテルはサンセットブレバードの「ザ・ロンドン・ウェストハリウッド」。レセプションや一部のスペースはなんだか英国趣味のホテルである。米国人ってこういうのが好きらしい。日本だと(もうほとんど存在していないけれど)名曲喫茶に感激すると聞いたこともある。
ちょうど到着した時はホテルの一室でテレビ番組のオーディション中。若き俳優たちがずらりと面接のための行列を作っていた。「美男ぞろいですねえ」とは同行のジャガー・ランドローバージャパン広報担当のカトウさん(女性)の弁。
部屋はというと、しかしながら、広いは広いがビジネスホテルのようなかんじでよけいな装飾はほとんどなし。これはこれで僕は好きである。資料を広げられるスペースが広いほうが嬉しいから。ハリウッドの景色が大きく広がる。といってもビルばかりだけれど。
この日のランチは外で食べようということになり、サードストリートまで脚をのばした。目的地はメキシカンレストラン。入ったところにバーがあり、両側がテーブル。テラス席もある。店内が広いのはやはりロサンジェルス。東京ではこんな店ない。僕はカルネアサーダ。ようするにステーキ。カットしてコーンのトルティーヤに包んで食べるのが美味である。
大きなショッピングモール「ザ・グローブThe Grove」も大勢の人だかり。考えてみたら日曜日の午後である。最も混む時間に行ってしまった。びっくりしたのはもこもこブーツで有名なUGGのショップがあること。11月のロサンジェルスはTシャツ1枚でも汗が出そうなほど。誰が履くんだろう。後で聞いたらこの地では暖かい気候ゆえ、北国の装いというエキゾチックなものへの憧れがあるらしい。
サードストリートのカフェにはカッコいいアフリカンアメリカンがおおぜいいる。アレサ・フランクリン?ってかんじのかっこうをしている。見とれていたら「ちょっとちょっと」と呼ばれた。なんだろうと思ったら「私たちの写真撮ってよ」。上から見下ろすような位置からの人物撮影がお好みらしい。そういえばハチ公前交差点でインバウンドのひとたちも自撮り棒で高いところから撮っている。
次の日はジャガーのEVコンセプトモデル、I(アイ)ペースのお披露目だった。ロサンジェルス市内のミルクストゥディオという品川の寺田倉庫のような場所におおぜいのジャーナリストを集めて、鳴り物入りの公開である。詳細はIペースのことを書いた記事を読んでください。
ジャガーは最近(ご多聞にもれず)ブランド・コレクションに力を入れている。とくに50年代から60年代にかけての雰囲気がプロデューサーの好みらしい。もちろん僕(たち)だって昔のジャガーの雰囲気も好きである。こんなTシャツ、いいよね。
ロサンジェルス・オートショーでもIペースは注目の的だった。それはそうだろう。スタイリッシュで速い電気自動車。それを2018年には発売すると発表したのだから。ジャガーは自分たちに何を期待されているかがよくわかっている。
ほかのメーカーでとくに目を惹いたのは下。マセラティである。米国では50年代から人気の高いブランドだ。KeyMission170で撮るといかにマセラティのブースが広いかがよく分かる。この女性、人気で、みんなが写真撮らせてくれと頼んでいた。
ブースの完成度が高かったのはキャデラック。2016年8月にペブルビーチで公開した次世代のプレミアムセダンへの提案、エスカーラ・コンセプトを大きなポディアムに載せていた。美しいビジュアルである。
日本とは関係ないけれど(ほとんど輸入されていないから)キャデラックのライバルであるリンカーンのブースも立派である。カーペットの毛足が長くてつっかかってしまうほど。こちらは豪華なSUVのコンセプトモデルで客足を止めていた。
ニコンのKeyMission 170は手の中に隠れてしまうぐらい小型でしかも軽量なカメラだ。僕は今回風景をメインに撮っていたのでハンディスティックに取り付けて持ち歩いていたけれど、カヤックやったり山登りやったりするひとは、艇やヘルメットにも固定できる。リモコン操作が可能という使い勝手のよさもセリングポイントだ。ハウジングなしで10メートル防水だし防塵性能の高さも謳われている。4K UHD対応のムービーが撮れるので楽しみが広がりそうだ。
画像はすこし色が淡いかなと思ったが、ニコンといえば、目で見えるものを出来るだけ忠実に表現するのがポリシーと聞いたことがある。KeyMisshon 170もそれがよくわかる。小さなカメラなのに、ひとことで言うと“好きになれる画像が撮れる”。疲れないといえばいいのか。あとでシロウトが補正などしないほうがよっぽどきれいだ。
このカメラの役目は当然ながらアクションカメラとして広角の画像を撮れるところにあるわけだけれど、ニコンのよさがちゃんとある。
(最後の画像のみiPhoneで撮影)