天板の形状(やキャスター可動式かどうか)でだいぶ働きかたが変わるとか

 内田洋行のアクティブ・コモンズとは、ひとことで言うと働き方変革。「オフィスワーカー自らが業務に応じて最適な機能と場所を選ぶ考え方」(同社のプレスリリース)で「一般的なフリーアドレスとは異なる」そうだ。

 「集中したソロワーク」「専門性の高いプロジェクト型」「思い立ってすぐできるミーティング」「他者と情報共有するカフェワーク」といったぐあいに、じつは仕事の内容はさまざま。時代とともに速いスピードでビジネスの内容が変化していくいま、オフィスの形態が障害にならないようにという考えがコンセプトの原点に見える。

テーブル型デスクは大きくつなげることも出来るのでソロワークとグループワークがシームレスになる

 内田洋行が提案するのは新しいオフィス家具だ。

 たとえば「まゆ型」「ウィング型」など形状が異なる8種類の天板をオフィスのテーブルのために用意。2人で作業するときはウィング型で正面から向かいあわないような配慮があるなど快適性と効率性を結びつけているのが特徴といえる。もうひとつ興味ぶかいのはテーブルの脚の高さが調節可能で、950ミリにすればスタンディングワークにも対応するそう。

立って作業するほうが効率いいひと向けに脚の高さが変えられるミーティングテーブルもある

 実際に見学したのは東京・中央区にある内田洋行の新川第2オフィスだ。アクティブ・コモンズを採り入れており、一つのフロアにさまざまな場があっておもしろい。

 プロジェクトによってくっつけたり離したりが可能な比較的小さな単位のテーブルを使っているし、白い壁さえあれば専用機器とPCに接続するだけでワイヤレスで画面をプロジェクター経由で投影できるためすばやいミーティングが出来るシステムも採用されている。天井をみるとパーティションも取り付けられるというレールがあるので使い勝手はよさそうだ。

パーティションが自在に動かせればプロジェクトワークもやりやすくなる

「ワークスタイル変革の手段としてのアクティブ・コモンズは企業の大小を問わず有効です。逆に小規模な企業で経営者が働き方やワークプレイスに関心が高い場合は、大手企業以上に思い切った施策を取ることができます」。そう語るのは株式会社内田洋行執行役員であり知的生産性研究所所長を務める平山信彦氏だ。

「たとえば 2、3人の会社やチームで、自分の席を持たずに大きな打ち合わせテーブルを作業机として共有し、自分の作業の内容に応じて好きな場所に座るなどという仕事の仕方をしているケースをよく見ます。小規模という特性を活かし、そこで働く人の要望や好みにきめ細かく応える作り方が考えられます。個人席を設けず、テーブルワークを導入し、アトリエのようなワークプレイス、居間のようなワークプレイス、ガレージのようなワークプレイスなど様々なバリエーションが可能です。構築事例として新潟の小林文英堂では、社員数11名、リニューアル後の社員の皆さまのクリエイティビティは大幅に向上していると聞きます」

 興味をもつ読者がいたら、自席のデスクをテーブルに変えるところからスタートするのがいいという。

 さきにも触れたとおり、ひとりの仕事やグループワーク、どちらにも対応できる家具を導入することで仕事の内容が大きく変わる可能性があるからだ。現在はビジネスの内容がどんどん変わる時代である。それに対応する意味でもいわばオフィスの作り方に注目するのは大事なことだろう。

オフィスの隅のこんな作業場のほうが効率が上がることも

「オフィスのリニューアルは、働き方変革じたいが3年を1スパンとして進めることが多いので3年に1度ということができます。従来のオフィスリニューアルと比較すると短いスパンに感じられると思いますが、働き方がどんどん進化していくので、働く場も変容を求められます。逆に3年たってもオフィスが陳腐化しないようならば働き方はドラスティックには変わっていないとも言えます。もちろんその間、利用状況に応じて細部のブラッシュアップは必要です」(平山氏)

 働きかたがオフィス家具から変わる。目からうろこのコンセプトだ。