なぜ東芝経営陣は
方針転換できなかったのか

 にもかかわらず、なぜ東芝の「広報」は対応を調整しなかったのか。答えは簡単だ、経営陣が「目の前で起きていることに目を背け続けた」からだ。

 先ほども申し上げたように、「広報」は人体における「口」なので、自ら語る言葉をつくりだすことができない。もちろん、表面的なトーンを整えることはできるが、「脳」が定めた大方針から逸脱することはできない。ましてや、東芝のような大企業ならなおさらだ。

 つまり、広報の頑迷さはそのまま、経営者の頭の中を示していたと言える。では、なぜ経営陣はこんな愚かな言動を取ってしまったのだろうか?

 よく指摘されるのは、「OBからの引き継ぎプレッシャー」だ。これまでの東芝は歴代社長が「顧問」やら「相談役」として居残り、ああだこうだと経営に口を出すというカルチャーがあった。社長といえども、自分をこのポストに引き立ててくれた「恩人」が進めていた原発推進路線を否定などできるわけがない。

 その次も、またその次も、ということをやっているうちに、「なぜ原発を推進するのか」ということよりも、「OBの皆さんが頑張ってきた原発推進路線を踏襲する」ということの方がプライオリティが高くなっていってしまったのだ。

 このあたりは終身雇用型サラリーマン社長であれば「あるある」なので、なにも東芝だけに限った話ではないのだが、なぜ東芝の経営陣がここまで徹底して「現実」から目を背け続けたのかということを考えた時、個人的には、もうひとつ別に大きな原因があったのではないか、と思っている。