小池百合子東京都知事に露骨にすり寄る一方、自民党東京都連とは対立する都議会公明党。国政での公明党は自民党との連立政権を維持しており、一見矛盾するかのように見える動きをしている。その背景について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。(文/清談社)
自民党を見限り小池都知事と連携
都議会公明党の動きの真意とは?
昨年12月14日、都議会公明党の東村邦浩幹事長は、「今まで自民、公明の連立でやってきたが、独自の改革を進める」と明言。自民との連立を解消し、小池百合子都知事と連携することを宣言した。
都議会公明党が小池知事に露骨にすり寄った背景には何があるのか。鈴木氏が解説する。
「公明党がはっきりと都議会で小池都知事と連携の立場を明言したのは、昨年の12月ですが、その予兆は、昨年9月の都議会からありました。議会の質疑のなかで、小池知事を応援するような代表質問をぶつけたり、友好的な答弁を引き出したりと秋波を送っていたわけです。自民党の都議のなかには、公明党の動きをこのころから訝しむ議員もいました」
では、なぜ都議会公明党が急速に小池知事に近づいたのだろう。その真意はどこにあるのか?
「それは今年7月に、都議会議員選挙が行われるからです。都議選は、公明党にとってまさに『絶対に負けられない戦い』なんです。そこには、公明党の支持母体である創価学会の存在が大きく関わってきます。現在、宗教法人の許認可権は、文部科学省が所管していますが、かつては都道府県知事の所管するものでした。だから、東京に本部のある創価学会を宗教法人として認可していたのは東京都知事だったんです。そのため公明党は、都議会では、常に与党であることが重要だったわけです。その伝統は今でも続いています」
つまり、都議会公明党が夏の選挙に勝つためには、都民人気の高い小池都知事と対立するわけにはいかないのだ。