立ち上がるアメリカ大学界
離れているからこそ募る支援の想い――。こちらアメリカで日本人の方々と会うたびに耳にする言葉だ。かくいう私もその通りの心境だ。今回は、その思いを行動にして奮闘する日本人留学生とその思いを受け止め日本の支援のためにひと肌もふた肌も脱ぎつつあるアメリカ大学界について紹介する。
地震後真っ先に連絡をくれたのは、アメリカ東部の名門エール大学の副総長リンダ・ロリマー女史だ。東大や早稲田大とエール大の提携を取り仕切り、日本とエール大学の関係強化に注力する人物だ。「コータロー。エールはさっそくチャリティーコンサートやるからね!全額寄付する。日本に最も効率的に寄付するにはどこにお金持っていくのがいいかな?教えて?」と地震の当日にメールをいただいた。
これを受け、政治学部の斉藤淳准教授が動く。今回の地震をエール大学内外で知的に考察し、かつ日本への支援につなげようとチャリティー・パネルディスカッションを企画し実施に奔走してくれた。エール大学のような名門で巨大な大学になると、いくらチャリティー目的でも、迅速に大学側を動かすのは容易ではない。スポンサーを探し、場所を見つけ、登壇者を用意し、効果的に告知しなければならない。
元衆議院議員でもあった斉藤准教授はフットワーク軽く、祖国への強い思いで、エール、ハーバード、東大から登壇者をかき集める。エール大学地球物理学の唐戸俊一郎教授、ジョナサン・シューエル同大研究員、香田洋二海上自衛隊元海将、松田康博・東京大学東洋文化研究所准教授と私も加えていただいた。華やかで幅広いメンバーにより3月24日に開催された。公衆衛生学部やビジネススクールの留学生も必死で告知し、募金集めの準備に取り組んでくれた。
皆さんの告知のかいもあり会場は満杯。2時間余りの熱心な議論と質疑応答。私は復興策についてプレゼンし議論させていただいた。会場では学生がほとんどでありながら3000ドルもの義援金を集めることができた。
翌々日のチャリティーコンサートには2000名を超える観客が訪れてくれ、2万3千ドル以上の売り上げになった。これも全額寄付いただくこととなる。感謝!
現在在籍しているハーバード大学も負けず劣らず奮闘してくれている。エール大のシンポジウムに先立つこと一日、3月23日に大学でシンポジウムが決定。私も登壇。政治学部のスーザン・ファー教授、公衆衛生大学院のマイケル・ライシュ教授、引原毅ボストン総領事、香田洋二海上自衛隊元海将というこちらも豪華メンバー、会場を一杯にし3000ドル近い義援金を集める。その他ケネディスクールでも日本人留学生が核となり奔走して、たくさんの義援金を今でも集めてくれている。