「凡人なのに突き抜ける人」が密かにやっている、たった1つのこと
「本を読むのが速い人の秘密」がわかった!
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。脳を鍛えることで、理解力、記憶力、集中力もアップします。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』の刊行を記念し、本記事を配信します。

「凡人なのに突き抜ける人」が密かにやっている、たった1つのことPhoto: Adobe Stock

突き抜ける人がひそかにやっていることは?

 本日は「没頭する方法」についてお伝えします。

「なにかに没頭できる人が羨ましい」「推しがいる人を見ると、自分はどこか欠けている気がする」。そんな感情に、強く共感してしまう人は少なくないと思います。実を言うと、私自身がまさにそのタイプでした。何かにハマりたい気持ちはあるのに、気づいたら夢中になっていた、という経験がほとんどない。推そうと思って推すものではなく、自然と推している人たちを見ては、「自分にはなぜできないのだろう」と考え続けてきました。

 長いあいだ理由を考えてきて、ひとつ腑に落ちた答えがあります。それは、没頭できない人の多くは「好奇心よりも緊張が勝ってしまう体質」なのではないか、ということです。

好奇心よりも「緊張」が先に立つ人たち

 新しいことに興味がないわけではない。むしろ、やってみたい気持ちはある。けれど、その前に「失敗したらどうしよう」「変に思われたらどうしよう」「最低限のマナーを知らないまま行って大丈夫だろうか」といった不安が一気に押し寄せてくる。結果として、頭の中で準備が整うまで動けなくなり、気づけば何も始まっていない。このタイプの人は、リスク回避傾向がとても強く、完璧主義になりやすい傾向があります。

 たとえばジムに通うだけでも、「どんな服装なら浮かないか」「どのくらいの体型なら恥ずかしくないか」「器具の使い方を完全に理解してからでないと行けないのではないか」と考え続けてしまう。誰かについてきてもらい、すべてを理解し、失敗しない状態になってからでないと一人では動けない。そうしているうちに、最初の一歩がどんどん遠のいていきます。スキーやスノーボード、サウナ、図書館ですら同じです。楽しそうだとは思うのに、服装、作法、周囲の目が気になってしまい、緊張が先に立つ。その緊張を超えるまでの距離が、果てしなく長く感じられてしまうのです。

「やったあとに好きになる」までが遠い

 一般的に「やりたいことは、やったあとにしかわからない」と言われます。ただ、緊張が強いタイプの人にとっては、「やったあと」では足りません。「やり続けたあと」にようやく面白さが見えてくる。つまり、没頭に至るまでの助走がとても長いのです。この助走を一人で乗り越えようとすると、ほとんどの場合、途中でフェードアウトします。だから「自分は没頭できない人間だ」と思い込んでしまう。でもそれは能力や熱量の問題ではなく、単なる体質の違いだと考えたほうがいい。

没頭するための、たった一つの現実的なコツ

 このタイプの人に対して、私がたどり着いた対策は一つだけです。それは、「裸を見せてもいいくらい信頼できる人を、一人つくること」。その人は、自分とは真逆のタイプがいい。リスクをあまり感じず、完璧を求めず、わからないことがあればすぐ人に聞ける人。店員さんに気軽に声をかけられる人、初めての場所でも躊躇なく踏み込める人です。

 新しいことを始めるときは、その人に徹底的に頼る。一緒に行ってもらい、質問してもらい、失敗しないラインまで導いてもらう。完璧になるまで、何度も付き合ってもらう。自立は、そのあとでいい。私の場合、その役割を担ってくれたのは家族でした。ジムも、ゴルフも、図書館も、サウナも、最初は一人では行けなかった。でも「ここまでできれば大丈夫」というラインまで一緒に体験することで、ようやく安心して一人で行けるようになったのです。

没頭できる人は、実は「突き抜けやすい」

 興味深いのは、こうした緊張型・完璧主義タイプの人は、一度没頭できると、かなり深くまで突き抜けやすいという点です。最初は小心者でも、ルールや作法が身体に入った瞬間から、誰よりも真面目に、誰よりも正確にやれるようになる。部分的に、極端に強くなる体質とも言えます。だから「没頭できない自分」を責める必要はありません。没頭に至るまでの道のりが長いだけで、適切な助けがあれば、ちゃんとハマれる側の人間です。

没頭できなくても、人生はつまらなくならない

 最後に一つだけ付け加えるなら、「どうしても没頭できるものが少ない」という事実を、無理に変えなくてもいいということです。私自身、振り返ってみると、心から没頭できたのはゲームくらいでした。それでもいいと思っています。大事なのは、没頭できるかどうかよりも、緊張を乗り越える体験を増やせるかどうか。誰かに手を引いてもらいながらでもいいので、体感の数を増やしていく。その先に、静かにハマっている自分が、いつの間にか現れているかもしれません。「気づいたら推していた」は、狙って起こすものではありません。でも、起こりやすい環境をつくることはできる。その第一歩が、「一人でやろうとしないこと」なのだと思います。

(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・取材加筆したものです)