トランプの日本批判は聞かれず
経済問題「棚上げ」に成功

 外交における主な国益とは、「安全保障」と「経済」である。安保面では大成功だったが、「経済」はどうだろうか?結論から言うと、こちらも「大成功」といえるようだ。

 日米経済関係について、トランプは、大統領選挙戦中から日本を非難してきた。日本は「円安誘導」を行い、貿易を「不均衡」にしているというのだ。

 日銀の「量的緩和」が円安の原因になっていることは事実だが、米国も08年から量的緩和を繰り返すことで、経済危機克服に成果を上げてきた。日本は米国のやり方を真似ただけであり、本来あれこれ言われる筋合いはない。とはいえ、「自分がやるのはいいが、他国がやるのは許せない」というのが米国である。

 では、米国の貿易収支はどうなっているのだろうか?米商務省によると、16年米国の対日貿易赤字は、689億ドル(約7兆7000億円)だった。自動車関連の赤字は、526億ドルに達する。この赤字額は、中国に次いで世界2位である。

 これまでさんざん、経済政策で日本を非難してきたトランプだが、今回の会談では、特に安倍総理に噛み付くようなことはなかった。日米は、貿易や投資・雇用拡大策を協議するための「経済対話」を創設することで合意。麻生副総理兼財務相とペンス副大統領が、率いることになる。

 新たな経済対話のテーマは、以下の3点だ。

 1.財政、金融などマクロ経済政策の連携
 2.インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙での協力
 3.二国間防衛枠組みの協議 

 トランプは大統領就任直後に「TPP離脱」を決めた。日米貿易を今後どうしていくのか、「自由貿易協定」の交渉に入るのかが、注目される。いずれにしても安倍総理は、「安保問題と経済問題を切り離すこと」「経済問題を事実上棚上げすること」に成功した。