その過激な政治手法に、アメリカ国内はもちろん、世界各国の首脳から早くも非難の声が上がっているトランプ大統領。一方、日本政府は妄信的とも思えるほどの楽観論を崩していない。しかし、ジャーナリストの鈴木哲夫氏によると、現在の日本外交の置かれている状況は、かなり厳しいものであるという。(文/清談社)
安倍総理のブレーンが
明かした危機感
1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ。政権発足まもない1月27日には、イラクなど7ヵ国からのアメリカ国内への入国を一時停止する大統領令を発令。さらに、その大統領令に反発したイエーツ司法長官代行を解任するなど、就任早々、過激な言動が話題となっている。
世界各国の首脳が非難の声を上げるなか、日本政府は、トランプ政権を批判するメッセージを発することもなく、静観を決め込んだまま。従来のアメリカ追随の外交姿勢を変えていない。鈴木哲夫氏が語る。
「安倍総理の周辺では、トランプ大統領に対して非常に楽観的というか期待感というか、そういう見方をしている人も多い。例えば、ビジネスマンだから政治を理解してくれば、そう過激なことはやらないはずだと考えたり、他国には厳しくても、日本との同盟関係を大事にして、実際に大統領になったら、選挙で主張していたような極端なことはしないはずだ、と思い込んでいるようなんです」
さらにこうした楽観論は、総理の周辺だけでなく、安倍総理自身も持っているというのだ。
「安倍首相周辺から聞いた話では、安倍首相は、トランプ大統領に会って一対一で胸襟を開いて会談すれば、活路を見出せると思っていたようなんです」
しかし、総理周辺にも危機感を抱く人物もいたという。