米国の民主主義は
政治の正常化を進められるか

 トランプ政権が自身の修正能力で、唯我独尊の態度を改めることは期待薄だ。テレビインタビューでトランプ氏はプーチン大統領のロシアについて問われ、「米国もロシアと同じで潔白ではない」と発言した。

 これは、シリアへの軍事介入などを進めてきたロシアを牽制し、国際社会の安定を重視してきたオバマ政権とは全く逆の発想だ。トランプ氏が大統領の座に居続ける限り、米国、国際政治の混乱は避けられないかもしれない。

 すでにトランプ政権は、中国製の建設資材は不当に安い価格で米国に輸出されていると判断し、制裁関税の導入を決めた。対外強硬策、保護主義政策が進むにつれて、相手国から報復措置を受ける可能性も高まっている。

 その状況を改善していくためには、社会全体がトランプ政権の暴走の危険性をしっかりと認識するしかない。トランプ大統領の暴走が続けば、多くの人が「憧れるアメリカ」ではなく、「嫌われるアメリカ」になってしまう。民主党に加え、身内である共和党からもトランプ政権への批判は増えている。

 一方、入国制限に対して世論は、へ賛成と反対で二分されている。ボストンの連邦地裁が入国制限を支持するなど司法判断も分かれている。米国の大統領には、移民が米国の利益にならないと判断された場合、入国制限を課す権限がある。そのため、入国制限を課す大統領令を100%ゼロクリアすることは難しいとの見方もあるようだ。

 そうした米国内の亀裂が大統領に対する信認を低下させ、一部にはトランプ氏排斥の動きにつながる可能性も指摘されている。クリントン元大統領が弾劾にかけられたように、まず、下院で過半数が賛成すると、大統領は弾劾裁判にかけられる可能性も出てくる。

 すでに米国内では、トランプ氏排斥の市民活動も増えているという。今後は、世論の変化が党の垣根を越えて、議員の危機感にどう影響するかが焦点になる。すでに企業からも入国制限への反対意見が出ている。このまま、米国社会がトランプ政権を容認するとは考えにくい。