リハーサルをやっても、やっても、撮影本番を迎えるともちろん、その通りにはいきません。しかし、リハーサルをしっかりやっていると本道がわかるから、今、どのくらいズレてしまっているのかもわかります。だから元に戻れるのです。必要な要所要所が何分何秒後なのかを体で覚えているから、どの部分をどこまでに誘導すればいいということがわかっている。さらに言うならば、それがわかっているからこそ、自信を持って遊ぶことができる。

 これは「守破離」と同じです。しっかりと準備をして守ってはじめて、偶然の成り行きやコメンテーターなどの脱線も制しながら、破ることができるし、離れることもできるようになるのです。

 プロというのは、自分の領域において非常に慎重な人だと思います。臆病といってもいいかもしれません。もちろん根っから臆病なのではなく、撮影本番中に脇道に入って本道に戻れなくなる怖さを知っているからこそ臆病になるのです。プロであればあるほど、失敗した時の情けなさや怒りを知っているため、準備やリハーサルにも身が入るのだと思います。

 準備をしっかり行い、念入りにリハーサルをするのは、予定調和を狙い、無難に撮影本番を終わらせるためでは決してありません。それよりも、自信を持って、リラックスして遊べる、挑戦ができる、そのための準備なのです。

 皆さんは、そんな準備を怠っていませんか?

(一般社団法人社会人材学舎 代表理事 野田 稔 )