「印刷=紙」という固定概念を覆し
徹底的に大手の逆を行く

いぬかい・しんじ/1978年生まれ、神奈川県出身。1997年入社。2006年4月取締役、13年3月代表取締役に就任 Photo by K.Y.

──しかしインターネットの台頭以降、出版業界はシュリンクし、それに伴い印刷業界にも逆風が吹いています。市場的にも凸版印刷、大日本印刷の大手2社が寡占している厳しい状況です。なぜバンフーは売上が伸びているのでしょうか?

 紙の書籍だけに目を向けていると厳しいかもしれない。でも身の回りはまだまだ「印刷物」で溢れています。それに、我々が狙うマーケットは大手2社と違います。大手は出版印刷を軸にしつつ、印刷以外の事業の売上を伸ばしている。また、出版の仕事は数字が大きいので、競合も多くなり値段の叩き合いになってしまいます。

 弊社の強みは小口の商業印刷のお客様が多いことです。営業と店舗だけでも月に3000から5000社のお取引があります。大口の顧客に依存していないので、売上の波が少なく強みになっています。

 小口の商業印刷というジャンルで勝負していくためには「多様な販売チャネル」が不可欠です。「atta」という飲食業の通販サイトを運営していますが、まずは物販から入り、そこからメニューやショップカード、ウェアなど印刷物を一括して受注するようにしています。

 印刷は、実はすごく分類が細かくて、例えば、名刺とショップカード。作り方は一緒ですが、ジャンル分けによって需要の形が変わるのです。はんこを作る時はんこ屋さんに行きますよね? でも、印刷屋でも作れるのです。オリジナルTシャツを作る時も、印刷屋に行こうとは普通思わないですよね。弊社は基本的にすべての印刷ができるので、入り口のチャネルを増やし、お客様のニーズごとにわかりやすい導線を作るようにしています。

 他にも、美容関係の企業と一緒に、美容業界向け印刷通販を運営しています。ショップカード、カルテ、名札、DMなど、業界ごとにも印刷物はたくさんあるのです。

 医療でもカルテがあり、名札やユニフォームもある。そこには必ず「印刷」が顔を出します。多くの人が、「印刷=紙」という概念を持っていますが、弊社は紙の印刷だけではなく、プリントや刺繍など全てをカバーできるので、まだまだ潜在的な需要があります。