トヨタのHV戦略は、この20年間に販売累計がグローバルで1000万台を超える。多くの車種に当たり前のようにHVが投入され、HV比率は約45%にまで至っている。HV比率を伸ばすことに成功した背景には一貫してHVを前面に押し出すことで、環境志向のハリウッドのスターがプリウスに乗って宣伝効果が生まれるなど、トヨタのHV戦略が結実したといえる。

HV戦略で成功したのに
なぜ今度はPHVに向かうのか?

 当時の奥田社長は「社内でいろんな議論はあったが、清水の舞台から飛び降りるように“エイヤ”だった」と決断の思いを語っていた。初代プリウスからトヨタのHV戦略がここまで市場で評価され、確立されてきたにもかかわらず、なぜ、今度はPHVに向かうのか。

 それは、ひとえに世界の環境規制がさらに厳しくなり、各国の規制におけるエコカーの枠からHVが外される方向にあるからだ。

 例えば米国では、メーカーごとの燃費基準である「CAFE(企業平均燃費)」が2017年から2025年にかけて段階的に強化される。その中にあってカリフォルニア州の「ZEV(ゼロエミッション車)法」に代表される規制は2018年モデルからハードルが上がり、これまでZEVにカウントされていたHVが除外されるのだ。

 また、欧州では、EU(欧州連合)が2021年までに1キロ当たりのCO2排出量を95グラム以下に抑えるという規制値を発表している。欧州メーカーとしても現状ではこの数値をクリアするのは難しいが、PHVを優遇する措置もあることでPHV、EVへ開発が傾斜している。

 さらに、世界最大の自動車市場になった中国でも環境規制が厳しくなる中で、エコカー優遇策においてHVは外されて、PHVから認められる方向にある。

 このように、世界の環境規制が厳しくなるために、トヨタはグローバル戦略として従来のHV主流推進策からの転換を余儀なくされるということなのだ。