しかしその一方で、“闇の中国語観光ガイド”が多数暗躍している事実がある。

 “闇ガイド”は、日本の旅行業界では悪名高き存在だ。正規のガイドなら車中の時間を利用して日本の伝統や習慣を伝えようとするが、闇ガイドが車中で行うのは専ら販売行為。持参した段ボールの中から次から次と商品を取り出しては、観光客に売りつけるという。乗客の安心安全は二の次、ひどい場合は、観光地で乗客を積み残して出発するケースもある。

 中国で“ぼったくりバー”に連れ込まれる日本人観光客もいるようだが、ここ日本で中国人観光客は“ぼったくり免税店”に連れて行かれる。誘導するのは中国人の闇ガイドだ。闇ガイドの素行に詳しい日本人通訳案内士のSさんは次のように話す。

「“ぼったくり免税店”は、不当な値段をつけて中国人客に販売します。訪日客は後から『法外な値段を払わされた』と気づいて、結局『日本とはこういうところか』と不満を抱いてしまうのです」

 中国人の闇ガイドは、中国人旅行者をなぜ“ぼったくり免税店”に連れて行くのだろうか。「そもそも中国人ガイドは薄給だから」ともいわれるが、中には以下のような極端なケースもある。

「中国の旅行社が『100人の訪日旅行者をタダで引き受けろ』と、日本のランドオペレーター(訪問地の手配代行者)に振るんです。このときランドオペレーターはこの仕事を“闇ガイド”に『一人当たり1万円、合計100万円で買い取れ』と丸投げする。“闇ガイド”は旅行費用と仕入れ代金(100万円)を取り返し、さらに自分の利益を叩き出すために、“ぼったくり免税店”に連れて行くのです」(日本の旅行業に詳しい経営幹部)

 一方、“ぼったくり免税店”ではどんな商売が行われているのか。内部に詳しい別の人物は内部の様子についてこう話す。

「“ぼったくり免税店”では、『2000円の価値しかないものを1万円で売る』というようなことが平気で行われています。この場合、商品1個の購入に対して2000円のオーバーコミッションが“闇ガイド”に入るしくみです」