1月28日から始まった2017年の春節は、中国から海外への出国数が前年比7%の増加の615万人だったという(中国旅游局)。日本でも、中国人観光客がもたらす消費に期待が高まり、東京・銀座も多くの店舗が中国客を待ち構えた。
だが、期待の春節商戦も出鼻をくじかれるかたちとなった。筆者は春節期間中、銀座界隈を3回に分けて訪れてみたのだが、雰囲気は明らかに昨年とは違う。「爆買い」転じて今ではすっかり「買い控え」ムードなのだ。
JR有楽町駅に隣接する家電量販店は例年の熱気とは打って変わり、地下1階の炊飯器コーナーには中国人らしき人影はなかった。数寄屋橋の空港型免税店は平日より客の入りはあったものの、「活気ある売り場」からは程遠い。一世を風靡した日本ブランドの化粧水も、今や競うように求める客の姿は消えてしまった。
晴海通り沿いのドラッグの免税専用のレジカウンターで会計していたのは、たったひとりの中国人客だった。「ツーリスト専用」に別棟の化粧品売り場を設けた百貨店もあるが、そこで筆者が見たのは客待ちの従業員の姿だけだった。
中央通りの路面店には「春節特価」などの看板を掲げ、中国人客の購買に期待を寄せる店舗も少なくなかったが、銀座の従業員も肩透かしを食らった格好だ。「中国人客は時期をずらして訪日するようになった」という声もあるが、春節期間についていえば、どの店も「手持無沙汰の従業員」が目立った。
“トランク族”はすっかり消え
目に付く「手ぶら」の客
中国人客は確かに銀座に訪れてはいるものの、道を行き交う中国人観光客の数も観光バスの数も、春節中は例年に比べて明らかに減った。しかも、集合時間に戻ってくる中国人客は皆、示し合わせたかのように「手ぶら」である。家電製品はいうまでもなく、大きな買い物袋を3つも4つも――という昨年までの姿はほとんど見られない。