金沢城の石川門は兼六園にほど近い観光名所

 加賀藩の初代藩主、前田利家が金沢城に入城したのは1583年。城下町の基礎が築かれ、のちに前田家は、加賀・能登・越中の3国、約120万石を領有する最大の大名となる。「石」とは石高、つまり米の公定収穫高のことで、すなわち大名の力を表している。薩摩藩が77万石、長州藩が36万石と言われているのに比べると、加賀藩の100万石の偉大さがわかるだろう。

 利家の入城から約290年もの間、政治・経済・文化の拠点として加賀は発展してきた。徳川幕府に謀反の意がないことを示すため、特に工芸や芸能の発展に努めてきたと言われている。さらに戦災も免れたことで、歴史的な建造物や町並みが壊されることなく残った。

「北陸でおとなしくしていてね、と加賀百万石が前田利家に与えられた。その頃から、文化だけ守って生きていきましょう、と静かに暮らしてきた。金沢はそういう歴史と伝統がそのまま残っているようなところです。のんびりしていて、ガツガツしていない」(白山市出身の男性)

ケンミンの食卓には普段使いの輪島塗
甘い物にも目がない

 歴史的な背景から文化の尊重が根付いている金沢だが、現代アートを扱う金沢21世紀美術館のように、新しいものもうまく取り入れるバランス感覚が、さらにこの街を魅力的にしているのかもしれない。

 特に、受け継がれてきた伝統工芸は、今も県民たちの暮らしにしっかりと根付いている。

九谷焼の器と和菓子を楽しんでみては?

「九谷焼の食器や、輪島塗の漆器は、実家で普段から使っています。茶道や生け花、お能や着付けを習っている人も多いです」
 と語るのは、金沢市出身の50代女性。データ(「石川100の指標」)からも、茶道をたしなむ人の割合が2.2%と全国平均の1.5%に比べて多いことがわかる。

 陶芸、染織、漆芸、金工、金箔製造などの工芸は全国トップレベルで、人間国宝(重要無形文化財保持者)の数、日本伝統工芸展入選者数も、ともに全国1位。観光客向けの体験プランも豊富で、県は「クラフトツーリズム」として押し出している。

 前出の女性は、「家にはいつも生菓子がありました」と言い、お茶文化に伴う和菓子への誇りも高いが、実は石川県民、和洋問わず甘いものが大好きなようである。

 1世帯あたりの年間消費金額(金沢市)は、「ケーキ」「プリン」「アイスクリーム・シャーベット」「コーヒー・ココア」いずれも全国1位。

「雪が降って寒い冬に、家のなかを暖かくしてアイスを食べるのが最高」(金沢市出身の男性)と、男女関係なく甘いものに目がないらしい。