そうはいっても、学生の立場で、常に自分の適職が選べると考えるのは現実的ではない。就職であっても転職であっても、大まかにいって、3人に1人くらいは職場と自分との適合に失敗するのが普通なので、転職もあり得ると考えながら就職するのが正しい。

 就職先は真剣に選ぶべきではあるが、文字通り「一生の問題」なのではない。特に、長寿化と共に職業人生も長期化している。一つの職場だけで職業人生を終えない人の方が普通だと考えるべきだ。

 付け加えておくが、就職に失敗した場合は、入社1、2年目であっても転職してよい。吸収力の大きな若い時期の時間を無駄にするのはもったいない。ただし、次の職場を確保してから今の職場に辞意を伝えることが肝心だ。いったん確保した正社員の立場を捨てるのは損だしリスキーだ。

面接は自己アピールより
相手への「敬意をともなう興味」

 就活にあって、どのように「自己アピール」をするといいのかと聞かれることが多い。しかし、動物園や水族館のショーに出る動物や、アイドルなどのオーディションなどではないのだから、特別に自分を目立たせる必要はない。

 採用側が欲しいと思っている人材は、(1)誠実で、(2)仕事ができる能力があって、(3)元気で先輩の言うことを素直に聞きそうで、(4)自分と似た臭いがする、人物だ。要は、相手を、自分たちの仲間に入れるにふさわしいかどうかを納得しようとする儀式が面接なのだ。

 もっとも、面接による選考によって、選考側が必ずしも最適な人材を選べる訳ではないことを申し上げておくのが公平だろう。残念ながら、面接官も、人事部も、役員も、他人を評価できるほど立派な人ではないのが現実だ。落とされても落胆には及ばない。

 そこをわきまえながら、小さな嘘をつかずに自分が率直であることを常に示しつつ、自分に仕事ができる能力と熱意があることを示しつつ、相手の波長に合わせる情熱があることを示すゲームが面接なのだ。

 このゲームにあっては、自分が他人と異なるユニークで面白い人物であることを訴えるよりも、相手の会社や仕事そのものに対して真摯な興味を持っていることを伝える方が遙かに効果的だ。「就活」に似たゲームとして「恋愛」があるが、このゲームでも、自分をアピールするよりは、相手に対する真剣な関心を表現する方が遙かに効果的なのは、読者の皆さんもよくご存じだろう。